パナマ文書公開の影にソロスあり!? 世界で飛び交う「噂」と「憶測」

パナマ文書公開の影にソロスあり!? 世界で飛び交う「噂」と「憶測」
国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)のサイト

 ウィキリークスが米国の機密文書を世界の5紙を通して同時公開したのは2010年11月だ。

 エドワード・スノーデン氏による米国国家安全保障局(NSA)による個人情報収集の手口を公表したのが2013年6月。

 そして今回「パナマ文書」の発覚事件が発生して、世界はまた機密漏洩ニュースで沸き返っている。

 筆者が在住するスペインでも電子紙『El Confidencial』とテレビ局『Las Sexta』が報道権を手に入れて毎日これに関係したことを報道している。

 パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から機密データーが社外に流出。それをドイツの地方新聞社が匿名者から2.6テラバイトの1150万件にのぼる情報として入手。そしてその内容を世界の370人のジャーナリストから成る「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」が分析解明して公表した。そして公表された内容から21万5000社のオフショア企業が存在していることが判明。それに加えて世界の国家元首や政治家、文学、スポーツ、芸能などの分野の著名人が名を列ねているのがわかったのである。

 そして、欧米では一連のこの騒動について、さまざまな憶測も飛び交い始めている。その憶測の真偽はさておき、どのような話で盛り上がっているか、スペイン語圏のブログやメディアの記事を紹介しよう。

◆ICIJの背景にソロスの影、で飛び交う噂

 ひとつ目は、ICIJの背景だ。

「パナマ文書」の謎を解明した「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」は世界のジャーナリストが集まった組織であるが、運営の為の維持費用が要る。そのスポンサーは誰なのかという疑問が沸く。このICIJのスポンサーに「オープンソサエティ財団」、すなわちジョージ・ソロス資本の組織が名前を連ねているのだ(参照「ICIJ」)。ソロスが噛んでいるとなれば、彼は何らかの意図なしには動かない人物。一連の騒動も俄然様相が変わってくるだろうという見方をする声が挙がっている。(参照「El Robot Pescador」)

◆米国の「タックスヘイブン」覇権狙い説

 またもうひとつ話題になっているトピックスがある。

 現在、世界で租税回避地(タックス・ヘイブン)として最も成長しているのはどこだかご存知だろうか? 実は、米国のネバダ州とワイオミング州とサウスダコタ州なのである。これは、銀行口座開設に関して政府間で情報交換できるように経済協力開発機構(OECD)が策定した共通報告基準(CRS)に米国が署名していないことを利用して、海外の富裕層が法人税のないネバダ州・ワイオミング州、サウスダコタ州に資産を移しているのだ。
ネバダ州のリノ市にはロスチャイルドが信託銀行を開設し、各国の富裕層は他国のタックスヘイブンに隠しもっていた資金をネバダに移動させているという。(参照「Bloomberg」)

 こうした事情を受けて、今回のパナマ文書は「米国のタックスヘイブンを更に進展させよう」というものなのではないかと見る向きもいる。すなわち、他国のタックスヘイブンの国を間接的に攻撃して、そこに隠されていた資金を米国に移動させるという狙いがあるという説だ。

◆米国にとって不都合な存在を落とす説!?

 3つ目は、今回のリークには米国にとって不都合な世界の元首の瓦解を狙う目的があるのではないかという説である。

 その一番の対象人物はプーチン大統領であろう。そしてサウジのサルマン国王も既にサウジ国内でも政変の動きがあり、米国もそれを支援している風にも見える。ウクライナのポロシェンコ大統領も支持を失いつつあり、今回の発覚が起爆剤になって議会で糾弾される動きが既に誕生しつつある。

 ただ、この説には疑問が残る。

 パナマ文書で名前が出てきた元首の一人、アルゼンチンのマクリ大統領の場合には、今回の発覚は逆に米国を不利にする感も否めない。これまで12年間の中国やロシア主体の反米外交から欧米主体の外交に切り換えているマクリ大統領である。

 しかも3月のオバマ大統領の同国訪問で両国の間で今後の強い絆が約束されたばかりである。そして南米で反米路線を歩んでいたブラジルが後退する中で、それに代わって欧米路線を歩む南米のリーダー的存在になるべきアルゼンチンなのである。その元首であるマクリ大統領が「パナマ文書」の中で名前が出て来たということは、この「元首を狙った米国の陰謀論」にはそぐわぬものだろう。

◆不自然なまでに出てこない米国・日本関係者

 ただ、こうした「噂」が浮上するにはもちろん背景がある。

 それは、いまだ米国人の名前が今回出ていないことである。

 ICIJの代表であるジェラード・ライル氏は〈「我々はウィキリークスではない。ジャーナリズムは責任感をもって報道を行なうことが出来るということを披露したい」〉と述べている。これは読みようによっては、ICIJのさじ加減でどうにでもなるとも読める。

 また、米国人の名前が現われない理由として、〈まだ膨大な文書なので米国人の名前に出くわすまで時間が必要だとか、米国人はこの法律事務所を使わなかった〉といった説明がされているが、どれも説得力を欠く説明である。(参照「Infobae」)。

 この点は、日本も同様だ。日本はタックスヘイブンを利用している割合は高いと言われているのに、同じく日本人名・日本企業がまだ出てこない。これも米国人はいないのと同じ説明がされるのと同様に、そこに隠れた理由があると見られても不思議ではない。

◆ウィキリークスも陰謀論を煽る!

 ウィキリークスもこうした「陰謀論」的な見方を後押ししている。

「パナマ文書」は米国の〈組織犯罪や汚職報告プロジェクト(OCCRP)によって組織され、国際開発庁(USAID)によって資金が賄われて誕生したものだ〉と発表したのだ。(参照「HispanTV」)。USAIDは当然米国国務省の指示で動いている。

 事実と憶測が入り混じり、もはや金融業界や政界だけでなく世界中の好事家の好奇心も揺るがし始めた「パナマ文書」。

 この先、どのように展開していくか、注視していきたい。

<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

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