プールやシャワーでもコンタクトレンズ 左目がアメーバに感染 英国

プールやシャワーでもコンタクトレンズ 左目がアメーバに感染 英国
アカントアメーバ角膜炎に感染した女性の左目(The New England Journal of Medicine ©2019)

 英国に住む41歳の女性は、プールやシャワーを浴びるときでもコンタクトレンズをはずす習慣がなかったが、ある日突然、左目が鮮やかな緑色に変わって、視力を失った。医師は「水中微生物による感染症」だと診断し、水泳やシャワー中はコンタクトレンズをはずす必要性を訴えた。



 米マサチューセッツ内科外科学会が発行する医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に今月18日付けで掲載された症例報告によると、この女性は2カ月間、左目の痛みやまぶしさ、見えづらさを感じて、マンチェスターの王立眼科病院を受診。

水に住むアメーバ

 視力検査の結果、右目にはなんの問題もなかったが、左目の視力は20/200、つまり0.1に落ちていた。患者の眼球とまぶたの裏側を覆う結膜は真っ赤に腫れており、まぶたを開けているのもやっとの状態。ブルーライトを当てると鮮やかな緑色に発光し、角膜に損傷があることがわかった。



 女性はふだん、使い捨てのソフトコンタクトレンズを装着しているのだが、シャワーを浴びるときもプールで泳ぐときもつけっぱなし。そのため水中に生息するバクテリアの「アカントアメーバ」に角膜が感染したという。



 アカントアメーバは、海や湖、空気中などの環境中に生息する微生物で、水道水にもいるため、精製水の代わりに水道水で不用意にコンタクトレンズを洗浄したり、保存したりすることで感染する例があいついでいる。

コンタクトレンズの正しい使い方を

 実は1988年に東京女子医科大学の石橋康久医師が世界で初めて報告した角膜感染症で、原因の9割がコンタクトレンズの不適切な使用によるもの。そのため、水道水を飲んだり、体を洗っているだけでは問題ないが、コンタクトレンズには非常に危険だ。



 感染してもしばらくは自覚症状が現れないため、患者の多くがこの女性のように症状が進んでから医療機関を受診する。目の中にゴロゴロとした違和感があったり、ひきつれたような痛みや、見えにくさ、強い痛みが現れたのち、白目(結膜)の充血が起こり、瞳孔付近の病変が進行すると、視力低下が起こる場合も…。



 細菌性角膜炎やヘルペス性角膜炎の症状に似ているため、確定診断に時間がかかる場合も多く、治療方法は今のところ、有効な治療薬がないため、アメーバが寄生した部分を、金属製のヘラを使って角膜から削り取るしかない。



 41歳の女性は感染症は治ったものの、角膜に残った傷のために左目を失明。症例報告書によると、1年後に死亡したドナーから角膜の部分移植を受けて、わずかに視力が改善されたが、それでも完治はしていないという。






 英国では今月9日にも、シュロップシャー州に住む29歳の若者がシャワーを浴びるときにコンタクトレンズをつけっぱなしにしていたのが原因で、アカントアメーバ角膜炎に感染したというニュースが報じられたばかり。



 このニック・ハンフリーズさんも右目の視力を失ったが、現在はこういった事故を減らすために、啓蒙活動を行っている慈善団体「Fight for Sight」に協力して、コンタクトレンズの正しい使い方を広める運動に参加している。

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