なぜ「朝型」は「夜型」よりも長生きなのか? 昼夜逆転で死亡リスクに10%も違い

 真っ赤な落日を背に受けたら、そそくさと寝床に急ぐ。日の出が待ち遠しく跳ね起きる。そんな牧歌的な暮らしが、ついこの間まであった気がする。「早起きは三文の徳」と親に諭されて育ったのに、いつの間にか宵っ張りの朝寝坊が染み付いてしまった......。

 しかし、もし「朝寝坊してたら早死にするぞ!」と耳元で囁かれたら、あなたはぬくぬくと朝寝を続けられるだろうか?

完全な夜型は完全な朝型と比べ全死亡リスクが10%も高い

 米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部神経学准教授のKristin Knutson氏らは「クロノタイプ(日中の活動や睡眠のリズムの傾向)が夜型の人は、朝型の人よりも早期死亡リスクが10%高い」とする研究論文を『Chronobiology International』4月11日オンライン版に発表した。

 Knutson氏らは、英国の大規模なコホート研究であるUK Biobankに参加した38~73歳の男女43万3268人を対象に平均6.5年追跡し、クロノタイプと全死亡リスクとの関連を分析した。

 まずはクロノタイプを、「完全な朝型」(7%)、「どちらかといえば朝型」(35%)、「どちらかといえば夜型」(28%)、「完全な夜型」(9%)の4タイプに分類。そして、年齢や性別、民族、喫煙の有無、体格指数(BMI)、睡眠時間、社会経済的状況、併存疾患で調整した結果、導き出されたのは――、「完全な夜型は、完全な朝型と比べ全死亡リスクが10%も高い」というものだった。

 また「完全な夜型」は、健康上の問題を抱えるリスクも高い。「完全な朝型」と比べて、精神障害リスクは1.94倍、糖尿病リスクは1.30倍、神経障害リスクは1.25倍、胃腸/腹部疾患リスクは1.23倍、呼吸器疾患リスクは1.22倍だった。

 Knutson氏は「夜遅くまで起きていると、飲酒、喫煙、間食、ドラッグの使用など、不健康な行動が避けにくい。夜型の人は体内時計が朝型の社会生活に適合しないので、長期的にさまざまな問題につながりやすい」と警告している。

 また米マウントサイナイ・ヘルスシステムのAndrew Varga氏は「体内時計と社会行動がズレると健康が悪化するリスクが高まる。たとえば、日中に睡眠を取り、夜間に働くシフト勤務者は、死亡リスクや心血管疾患リスクが高まる傾向が強い。食事や睡眠のタイミングはインスリンの分泌量に影響し、糖尿病リスクを高めるなど、生体リズムは健康状態を左右する」と説明している。

 そしてKnutson氏は、徐々に就床時間を早め、朝型の生活リズムに合わせる改善策を勧める。「いきなり通常よりも2~3時間早く寝ようとしても成功しないので、毎晩少しずつ早めるのが賢明だ。シフト勤務の人は、健康的な食事、適度の運動、十分な睡眠を心掛ければ、健康上のリスクを回避できるだろう」とアドバイスしている。

快眠によって、脳機能、免疫機能、心機能、代謝機能が保たれる

 「栄養、休養、運動、睡眠のバランスこそが、健康の常道」と知っていても、言うは易く実行は難しい。多忙にかまけて、睡眠がおざなりになっている人は、少なくないのでは?

 「睡眠不足がつらい」「休日の寝だめでも疲れが取れない」「ハッと気づくと居眠り運転をしていた」「夜型生活から抜け出せない」「朝起きられない」「シフトワーク(夜勤)で仕事中も眠い」など、不眠の悩みは深く苦しい。

 健やかな眠り(快眠)は、熟眠感、回復感、休養感を自覚できる睡眠だ。十分な快眠と休養があってこそ、 QOL(生活の質)をキープできる。それは、脳機能、免疫機能、心機能、代謝機能などのホメオスタシス(恒常性)を保つ重要な役割を果たしているからだ。

 夜型ライフスタイルによる睡眠不足や睡眠リズムの乱れは、不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害だけでなく、慢性不眠による生活習慣病やうつ病の発症のほか、勤務中や運転中の事故などを招くリスクが大きい。

 また、もし「快眠できない」という自覚症状がある場合や、不眠や日中の眠気が1ヶ月以上続くような場合、あるいは、睡眠中に寝言や行動が見られる場合などは、何らかの睡眠障害にかかっている可能性があるので医療機関を受診すべきだ。

もし「眠れない」のなら「6つの質問」によるセルフチェックを!

 さて、「6つの簡単な質問」に答えるだけで、あなたの睡眠障害の症状が分かる、セルフチェック(睡眠医療プラットフォーム)がある。所要時間は約10分。回答の結果、何らかの睡眠障害が疑われたなら、より詳細な診断のための質問に移っていけるので安心だ。

 このセルフチェックは、国立精神・神経医療研究センターの精神保健研究所・精神生理研究部が全国の睡眠医療施設、大学、研究機関の専門家と共同開発したもの。以下の睡眠健康度の診断サイトに掲載されているので、不眠で悩んでいる人はもちろん、そうではない人も、ぜひ試してほしい。

●睡眠障害セルフチェック
 
 また、同じく前述の機関が共同開発した、あなたの朝型・夜型の傾向を判定できる「朝型夜型質問紙」も役立つだろう。

●朝型夜型質問紙

 さらに、あなたが抱える睡眠問題の有無を簡単に判定できる「ピッツバーグ睡眠調査票」もチェックしてみよう。

●ピッツバーグ睡眠調査票

 眠れない、夜中に何度も起きる、朝早く目が覚める、熟睡できない、遅寝が直せない、朝起きるのがつらい、眠気、だるさ、食欲不振、頭痛が続く......。どうしてもダメなら、『眠られぬ夜のために』(カール・ヒルティ/岩波文庫)をベッドの上で開いてみるのも手かも知れない。Godを信じていてもいなくても、恋人がいてもいなくても、眠りに誘ってくれるはずだ。
(文=編集部)

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