シークヮーサーに注目の成分「ノビレチン」~排尿や肝機能、糖・脂質代謝などが改善

シークヮーサーに注目の成分「ノビレチン」~排尿や肝機能、糖・脂質代謝などが改善
シークヮーサーに含まれる「ノビレチン」は万能薬?(depositphotos.com)

 「ノビレチン」をご存じだろうか? シークヮーサーなどの柑橘類に含まれるフラボノイドの一種だ。近年の研究から、ノビレチンには健康維持に有用なさまざまな機能性があるとわかってきた。

 期待される効果は、実に多岐にわたる。まず、ざっと挙げてみよう。「血糖値上昇抑制(糖尿病)」「脂質代謝改善(肥満)」「肝機能障害の改善」「がん抑制」「記憶障害(認知症など)の改善」「かゆみ・アレルギーの改善」「メラニン合成阻害(美白)」などなど。

 いま熱い注目が集まるノビレチンについて、中部大学教授(応用生物学部)の禹済泰(ウ・ゼテ)教授に詳しい話を訊いた。

実用が困難と考えられていたスーパー機能性成分

 「ノビレチンは柑橘類の果皮や果汁に含まれる成分です。といっても、ミカンやグレープフルーツなど、なじみ深い柑橘類にはあまり入っていません。日本の在来種の柑橘類でノビレチンを多く含むのは、シークヮーサー、タチバナ(橘)、ポンカンくらい。特に多いのがシークヮーサーです」

 「ちなみに、『古事記』や『日本書紀』で、垂仁天皇の部下である田道間守が海の彼方にある常世の国から持ち帰らせた『不老不死の霊薬』がタチバナだと伝えられていますが、そこで伝えられている植物の特徴は、シークヮーサーともよく似ています。『不老不死の薬』と謳われた薬理成分の正体は、ノビレチンだったのではないかと私は想像しています」

 禹教授は、天然の素材から「薬」の元となる薬理成分や機能性食品成分を探す研究を続けている。ノビレチンについては10年以上の前から研究を始めた。じつは最初にノビレチンが注目されたのは、20年ほど前だという。

 「日本でノビレチンが注目されるきっかけとなったのは、東京薬科大学の指田豊氏(同大名誉教授)の研究。シークヮーサー由来のノビレチンに血糖値や血圧の上昇を抑える顕著な作用があると報告され、その後も抗がん作用や抗炎症作用など、有望な研究成果が次々に発表されました」

 しかし当時は、実用化にハードルがあった。ヒトでノビレチンの効果が期待できる量を摂取するには、きわめて多量のジュースを取る必要があり、とても現実的ではなかった。
 「シークヮーサーは酸っぱく、ジュースでそんなに多量に飲めません。かといって他の柑橘類では、ノビレチン含有量が少ない。しかもノビレチンは精製が難しく、研究用にたった5gの粉末を入手するのに約1000万円もかかるほど高価でした。機能性成分として非常に魅力的な素材でしたが、実用化は困難と考えられていたのです」

 だが、禹教授のチームは研究を続け、ついに高純度のノビレチンを大量に製造する方法を開発したという。

 禹教授はシークヮーサーの果汁を絞った後の残渣から、ノビレチンの含有量60%以上(ノビレチンとタンゲレチンとしては、90%以上)の高純度粉末を精製することに成功。こうして近年、ノビレチンがサプリメントとして再び脚光を浴びることになったのだ。

インスリン抵抗性を下げて糖尿病を改善

 禹教授はノビレチンの作用について、さまざまな研究を行っている。最初に注目したのは、動物における糖尿病の改善作用。ノビレチンに血糖値を下げる効果があることは以前から知られていたが、その仕組みは不明だった。禹教授らはそれを解明したのだ。

 「糖尿病のモデルマウスを使った実験で、ノビレチンの投与によって、血糖値が3分の1ほど下がることを確認しました。そして、マウスの脂肪細胞や筋肉、肝臓などを調べた結果、脂肪組織ではインスリンの働きを阻害する因子の活性が下がり、逆にインスリンの感受性を高めるホルモンのアディポネクチンの量が大きく増えることを発見しました」

 ほかにも、細胞が糖を取り込むときに細胞膜で働くタンパク質が増加したり、肝臓で糖を作り出す酵素の遺伝子の活動量が低下したりすることが判明したという。

 こうしたさまざまな作用により、ノビレチンは動物における血糖値を下げることが明らかになった。後に米国研究グループによって、ヒトの試験でも、血糖値低下作用が認められている。

 そのほかにも禹教授の研究で、ノビレチンにメラニン色素の生成を抑制する(いわゆる美白効果)、シークヮーサー由来のノビレチンとタンゲレチン(フラボノイドの一種)が「かゆみ」を抑制するなどの効果も明らかになったという。

 また、ノビレチンの効果として、脳に及ぼす作用も注目だ。大泉康氏(東北大学名誉教授、東北福祉大学特任教授)らの研究では、ノビレチンの投与で記憶障害マウス(認知症のモデル)の記憶機能が改善した。

 認知症の中で最も多いとされるアルツハイマー病は「アミロイドβ」というタンパク質の脳への沈着が原因とされるが、ノビレチンにはアミロイドβの沈着を減らすという。また、すでに記憶障害が進行している場合も、改善させる働きがあると示唆されている。

 さらに最近の研究では、「排尿障害の改善」や「体内時計の調節」といったユニークな作用も報告されている。次回以降、そうした最新研究について紹介しよう。
(取材・文=山本太郎)

禹済泰(ウ・ゼテ)
中部大学応用生物学部教授(琉球大学客員教授も兼任)、株式会社沖縄リサーチセンター代表取締役社長。1992年、東京農工大学・博士(農学)、2009年、東京医科大学(医学博士)、東京工業大学生命理工学部助手、米国ノースウェスタン大学医学部客員助教授を経て現職。

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