安い焼き肉の正体〜TPPで輸入が加速する中南米産牛肉に注意!

 牛肉価格が高騰している。吉野家も牛丼の価格を値上げした。牛肉価格高騰の最大の原因は、中国での異常なまでの火鍋人気。中国が米国、豪州産の牛肉を爆買いしているからだ。

 輸入牛肉高騰に四苦八苦しているのが、空前の焼き肉ブームにある日本の外食業者だ。米国産牛肉、豪州産牛肉に代わる、安くて安定供給できる輸入先として熱い視線を送っているのが、中南米産牛肉である。

ドーピング検査で判明したメキシコ産の牛肉の危険

 特にメキシコは、TPP(環太平洋経済連携協定)11加盟国であり、将来的には関税も撤廃されるとあって、牛肉の新たな安定的輸入先として注目されている。すでに輸入をしている業者もあるという。

 しかしメキシコでは、牛を早く成長させるために、薬物投与が日常的に行われている。それが白日の下に晒されたのが、プロボクサーの相次ぐドーピング違反である。

 今年3月、元ボクシング世界王者のサウル・アルバレス選手がドーピング検査を受け、禁止薬物のグレンフテロールが検出された。また、2017年8月15日に行われた世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級タイトルマッチで、13度目の防衛を狙った山中慎介(帝拳)にTKO勝ちしたルイス・ネリ(メキシコ)に、試合後のドーピング検査で筋肉増強作用のあるクレンブテロールと同系統の禁止薬物ジルパテロールが検出された。ジルパテロールは家畜を太らせる目的で使われる物質で、ネリ選手側は「メキシコの食肉汚染が原因」とのコメントを出している。

 こうした汚染肉がTPPによって、ドッと日本に入ってくる恐れがあるのだ。

焼き肉店の「激安カルビ」に注意

 こうした汚染肉ばかりではない。牛肉高騰で今以上に氾濫することが確実なのが、安い「成型肉」である。最も注意しなければいけないのが、焼き肉店で出されるカルビだ。

 焼き肉店で、いちばんの人気メニューといわれるカルビ。1皿400円以下なら、くず肉を集めて人工的に作られた「成型カルビ」と見て間違いない。

 本来、カルビとは、牛の肋骨についている肉のことで、バラ肉ともいう。本物のカルビは、歯ごたえがあり、噛み続けていても口の中に固い筋が残る。成型カルビの場合、口に入れると肉がボロボロと崩れ、歯ごたえが感じられない。くず肉というのは、骨格や内臓など各種器官周辺部に付着している畜肉で、非常に低価格で取引される。

 成型肉にも様々あり、成型カルビは主に結着肉が使われる。激安焼き肉店で出す骨付きカルビも結着肉の範疇に入る。骨と肉の間に食用接着剤(酵素剤)と牛の白い脂身を入れて人工的にくっ付けたものだ。結着肉には、牛横隔膜を2、3枚、リン酸塩で結合させて作った「ミルフィーユ」と呼ばれるものもある。これもカルビに利用される。

 本物の骨付きカルビなら、直接、骨に赤身の肉が付いているが、もし付いていなければ「成型骨付きカルビ」と見ていい。本物の骨付きカルビを食べたければ、生の骨付きカルビを直接、目の前で焼いてくれて、骨のところを鋏で切り放してくれる店を選ぶことだ。

霜降り加工肉に使われる添加物の安全性は?

 サイコロステーキですっかり有名になったのが、インジェクソン加工肉(霜降り加工肉)である。米国産などの安い輸入牛肉に、何百本もの注射針がついた機械で、牛脂、添加物など注入、混ぜ合わせ、冷凍して固める。そうすると、輸入牛肉の赤身肉が、いかにも国産の高級霜降り牛肉らしくなるのだ。多くはサイコロステーキとして販売されるが、焼き肉用のカルビにも利用されている。

 このインジェクションには、リン酸塩とトレハロースが不可欠。トレハロースは、でん粉の老化防止や冷凍時のたんぱく質変性防止のための添加物だ。細菌や酵母からエタノールで抽出して得られる糖類で、甘味料もかねるという万能添加物である。

 安全性に関しては、今までのところ毒性の研究報告は発表されていないので、問題はないとされている。しかし、リン酸塩は2018年末までにEUが安全性の再評価を行うと表明している添加物で、安全性には大きな不安がある。

 インジェクションを含めた成型肉の安全性に関しては、もうひとつ大きな問題がる。病原性大腸菌0-157による食中毒である。成型肉は不特定多数の牛のくず肉、牛脂が使われている。それだけ感染源が多くなる。0-157対策は、肉の中まで十分に火を通すことに尽きる。

 しかし焼き肉店などでは、成型肉の表示はされていない。そのため、つい生焼きで食べてしまいがちである。スーパーなどでの販売では、「成型肉」の表示と「中まで火を通して下さい」との注意表示が義務付けられているものの、焼き肉店など外食分野でも早急にメニューに成型肉表示と注意表示を義務付けるべきだろう。
(文=郡司和夫)

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郡司和夫(ぐんじ・かずお)

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。

郡司和夫(ぐんじ・かずお)
フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。

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