映画『事故物件ゾク 恐い間取り』が7月25日(金)に公開される。
前作の『事故物件 恐い間取り』は21世紀に公開された邦画ホラー作品として最大の大ヒットとなる興行収入23.4億円を記録し、社会現象を巻き起こし、本作はそのシリーズ最新作となる。
監督は前作から引き続き、『リング』シリーズや『スマホを落としただけなのに』シリーズを手掛けたホラー映画の名手・中田秀夫が務め、主演は映画単独初主演作となるSnow Man 渡辺翔太が務める。
HOMINISでは中田秀夫監督にインタビュー。主演・渡辺翔太への印象や撮影のエピソード、こだわったシーンなどを語ってもらった。
――前作『事故物件 恐い間取り』のシリーズ最新作である今作を制作するに至った経緯を教えてください。また制作が決まった時の感想があればお願いします
「前作の『事故物件』がヒットして、1年も経たないうちにプロデューサーから、『またやってください』と言われたので『事故物件』の続編だろうと思ったら、それがなんとその『"それ"がいる森』だったんです。そんな中でも続編の企画は2年前に『ぜひやりましょう』とスタートして、前作の公開からとちょうど5年で公開となりましたね」
――キャスティングはどのように決まったのでしょうか
「渡辺君が、ホラーが好きという噂が飛んできたんです。前作の亀梨くんは売れない芸人を10年やっているという設定で、今回は芸能界に憧れを持っているタレントという設定なのでスタート地点は違いますが、"タレントをしていて、怖い思いをする"というのは似ていて。そういう役が似合う人で誰がベストかとなった時に、渡辺くんにお願いしようとなりました」
――撮影前に、渡辺翔太さんとはどんなお話をされましたか。また、実際に渡辺翔太さんの演技を見てどのように感じましたか?
「衣装合わせして、その日にすぐリハーサルをやったんです。その後も繰り返しリハをやって、役の感じをつかんでもらいました。それが僕にとっても、渡辺くんにとっても、他の俳優さんたちにとっても、功を奏したと思います。渡辺君は主演映画が初めてだったのもあり、俳優さんとしてキャリアを積まれてきた吉田さんや畑さんと伍してお芝居できるように、リハにすごく真剣に取り組んでくれたと思います。
渡辺くんはリハ以外にも自分で十二分にトレーニングしたと思うんですよ。渡辺くんの声の感じや声の出し方で気づいたことがあったので僕からアドバイスをして、自分のセリフを録音して、それをちょっと客観的に聞いてみて、とお願いしたんです。
クランクインは吉田鋼太郎さんとのシーンで、もともと細かくカットを分ける予定だったのですが、実際お芝居を見ると『これ、吉田鋼太郎さんと2ショットでも渡辺くんは全然負けてないぞ、いけるな』と思ってそのシーンは長く撮りました。
鋼太郎さんと2ショットで渡辺くんはすごく緊張していたと思いますが、変に力入れて力むお芝居ではなく、ちゃんと力を抜きつつ集中している感じでしたね。ちょうどアスリートがリラックスしてながらも集中しているような、一番パフォーマンスが高い"ゾーンに入る"というのに近い感じでやってくれたんじゃないかなと思います」

――現場はどのような雰囲気でしたか?
「渡辺くんも『ホラー映画と思えないほど楽しく和気あいあいとした雰囲気だった』と言ってくれましたが、これもまた、30年にやってると今回取り立てていつもと違ったかというと、そんなこともないんです。若い頃と違うのは、自分が怒らなくなったことですね。若い頃はカリカリして、俳優さんに強く言ってムッとされたり...。でもそれで得をしたことがあまりないので今は、褒めるところは褒めて、具体的に軌道修正を提案して、ポジティブな雰囲気を保ちつつ撮っています。俳優さんにも『これでいける』という気分でリラックスして演技してもらいたいと思うので、場が割と和やかな感じではあるのかなとは思いますね」
――現場でのエピソードがあればおしえてください
「僕は、カットがOKの時はそれと分かるかけ声でカットをかけるんですよ。歌舞伎の掛け声のように『よ~っ!』ってわかりやすく言うんです。シソンヌのじろうさんが教えてくれたのですが、その『よ~っ!』が俳優さんたちは嬉しいらしくて。渡辺くんも同じようにどこかで『監督の満足したような掛け声で終われると、それが何より嬉しい』というようなことを言ってくれていたみたいで、僕はそれがすごく嬉しかったです。
僕の心地よい掛け声でカットが終わってくれると嬉しいと思ってくれている。変な邪念がないというか、僕のこと信頼してくれて、演技を僕に預けようと思ってやってくれているのがすごく嬉しかったんです」
――撮影ではどんなことを意識されましたか
「正直言うと、"こういう意識であろう"とかは思わないんです。割とベテランと言われるようになってから、撮影が日常のようになっちゃった面もあって、今回こういう意識でやろう、というのは実はあんまりない。前は、クランクインの前日に緊張して寝られなかったりしたんです。でも今では、普通にやります。ちょっと緊張しなさすぎかもしれないけど(笑)。
ホラー映画はホラーの対象を怖く見せるというところが大命題としてありますが、そっちだけで成り立つホラー映画ってないじゃないですか。観ている人は、怖がる方にしか感情移入ができないし、怖がる人間がいるからこそ、幽霊や悪霊、悪魔などの対象が怖いということなる。だから、実は怖がる方が大切なんです。なので、渡辺くんの怖がる表現には注意してやろうとは思いました。渡辺くんには、集中して数十時間のリハーサルをしてもらったと思います」
――特にこだわられたシーンはありますか?
「恐怖表現には全部こだわりました。不安曲線というものがあるんです。

――改めて、映画『事故物件ゾク 恐い間取り』はどんな作品になったと感じてらっしゃいますか?
「撮影中はあまり感じていなかったのですが、編集する段階になって気づいたことが、作中に、『リング』の撮影の時を思い出すことがあったり、僕の一作目の『女優霊』の雰囲気に似ている部分があったりと、そういう自分が1990年代に撮っていたような雰囲気で撮れたと思っています。自分を模倣しようという意味ではなく、それだけ時を経たからこそ、新鮮な思いでした」
――この作品を観る方にメッセージをお願いします
「どうぞ劇場でご覧ください。僕の中では真正、純正のホラーと断言できます!精魂込めて、自分のありったけを出せるように頑張って撮った映画ですので、劇場で怖がっていただければありがたいです」
文=HOMINIS編集部
映画情報
映画『事故物件ゾク 恐い間取り』
2025年7月25日(金) 公開