人身事故で電車が遅延。まずい遅刻だ!ーー都心部で働くビジネスマンであれば誰もが一度は経験したことあるのではないでしょうか。
しかし会社に遅刻ということだけであれば、そこまで大事にはなりませんが、それが例えば重要な商談だったら?
「遅延する可能性も見越した時間前行動ができないような相手とは取引したくない」なんてこともありえるでしょう。さて、そんな時に「失注したのは鉄道会社の責任だ!訴えてやる!」というのは可能でしょうか?井上義之弁護士に話を聞いてみました。

電車が遅延 → 大事な商談に遅刻 → 失注 → 鉄道会社に損...の画像はこちら >>

■「ある目的地まで運ぶ」という契約であって、そこには「到着時間」は含まれていない

さて、まずは「電車を利用する」という事自体がどういった契約になっているのか教えてください。

『鉄道会社と乗客との間にはある地点まで乗客を運ぶという契約が成立していますが、原則として決まった時刻までに到着することは契約内容に含まれていません』(井上義之弁護士)

なるほど、時刻表はありますがそれを保証するという契約ではないという意味ですね。

『したがって、鉄道会社が電車が遅れたことによって乗客が被った損害について損害賠償責任を負うことは原則としてありません(一定の場合に、料金の払戻等は行われています)。仮に鉄道会社が電車の遅れにより乗客に生じた損害をすべて賠償した場合、賠償額は巨額となり、多数の乗客を安価で運ぶことができなくなってしまうでしょう。
』(井上義之弁護士)

確かに井上義之弁護士の言うとおりかもしれません。遅延の度に、その損害分を補償することは現実的に不可能ですね。

■過去、遅延を理由に訴えたケースがあった!しかし結果は・・・

過去、実際に遅延によって負った損害の賠償を求める裁判が有りました。しかし鉄道会社の責任を認めたケースは一つもありませんでした。判例でも、上述した井上義之弁護士の内容と同様にまとめられています。

『大事な用事については、余裕をもって予定を組んでおくべきです』(井上義之弁護士)

井上義之弁護士の言う通り、大事な商談など、絶対に遅刻できない時はいつも以上に早く出発することが重要です。
逆に自分が取引先だった場合、大事なアポイントに遅刻した理由を、電車遅延のせいにしているようなビジネスマンは、確かに信頼に足り得ないかもしれませんね。