他人のクレジットカード情報でホテルに宿泊…どんな罰則が?

他人名義のクレジットカード情報を用いて高級ホテルの宿泊代や海外への航空券代を不正に決済していたとして、自称プロゴルファーの男性を含む3人が、電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されたという報道があったようです。
他人のクレジットカードで決済し、宿泊代金などを免れることは直感的に犯罪だと思うでしょうが、今回は、この行為がなぜ電子計算機使用詐欺となるのかについて簡単に解説したいと思います。
他人のクレジットカード情報でホテルに宿泊…どんな罰則が?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

■会員名義を偽ったという点が詐欺となる
電子計算機使用詐欺罪が成立するには、「虚偽の情報」を入力する必要があります。もっとも、他人のクレジットカードをweb決済の方法で不正利用する場合、入力された会員番号や名義人の情報自体は正確ですので、そのことのみを捉えると「虚偽の情報」に当たらないことになってしまいます。
この点については、「虚偽の情報」とは、当該システムにおいて予定されている事務処理の目的に照らし、その内容が真実に反することと解釈されています。
今回の場合は、カード記載の名義人(A)が申し込んだのではないにもかかわらず、名義人以外の者(B)が名義人を偽って、名義人が申し込んで購入したという真実に反する情報を入力したことをもって、「虚偽の情報」を入力したという構成になります。

冒頭で述べたケースは、報道によると被害金額が4,000万円程度に上りますので、3人が起訴された場合、ほぼ確実に実刑となるでしょう。
なお、他人名義のクレジットカード使用につき、判例は、名義人の使用許諾の有無にかかわらず、名義の偽り自体を詐欺としていますので、名義人の家族や親せきであっても、カード名義人に成りすまして従業員にカードを呈示してホテルに宿泊すると、詐欺罪が成立することになってしまいます。
この結論に対しては、学説は概ね批判的です。

■宿泊時に偽名を使ったらどうなるか
関連して、クレジットカードの不正使用ではなく、宿泊時に偽名を使ったり、うその住所を記載したりしたときはどうなるのか疑問に思う方もいるかもしれません。
これについては、偽名や虚偽の住所を用いて宿泊しただけでは詐欺罪の要件を欠きます(反社条項違反等の場合を除く)ので、詐欺罪は成立しません。
しかし、旅館業法上、宿泊者は氏名、住所、職業その他の事項を記載しなければならないとされておりますので、偽名やうその住所を記載したときは、拘留または科料の制裁を受ける可能性があります(旅館業法6条)。

他人のクレジットカードを不正利用するのは論外ですが、偽名の宿泊だけでも処罰対象となり得ます。実際には旅館業法違反によって処罰される可能性は低いといえますが、違法ですので、偽名での宿泊は行わないようにしてくださいね。

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング)
【画像】イメージです
*kou / PIXTA(ピクスタ)
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