「売春は禁止なのにAVが許されるのはなぜ?」と思ったことがある人も多いかもしれません。
しかし、そもそもAVは売春に該当するのでしょうか?
売春とは売春防止法に規定する「性交」(本番)は、男性器の女性器への挿入を意味し、その他の性交類似行為を含みません。

したがって、性交を伴わない、例えばSMの行為を収録したAVは、売春云々を議論する余地はありません。では、性交(本番)のともなうAVはいかがでしょうか?
AVが「売春」にならない本当の理由の画像はこちら >>

■売春防止法とは
性交の対価として金銭の授受などがあれば、対償を得て性交したといえるようです(売春防止法第2条)。
しかし、同法は、不特定多数との性交を違法ともしていると考えられることから、単発的な出演ではどうかとも思いきや、やはり単発的でも反復継続する意志のもとで対償を得て性交に及べば、売春の定義に該当するものと考えられます。
そうすると何故売春防止法で規定されている売春が世の中にまかり通っているのかとも疑問もおありでしょうが、同法は、売春行為そのものに対して直罰の規定は、置いていません。
すなわち、売春を目的として公衆で客引きをすることや売春を強要することなどを処罰することとしているだけで、売春そのものは処罰の対象となっていません。
したがって、AVそのものが厳密には売春に該当するとしても、AV撮影やAV嬢の性交そのものを処罰することはできないということになります。


■AVの芸術性と哲学的要素
ここからは私見ですが、AVが撮影をした画像の作出であり、そこには少なからず芸術性や哲学的要素があることを払拭できないということを看過してはならならという視点です!
すなわち、不特定多数の男性が、撮影という大義名分を用いて性交をAV嬢とするという形式であれば格別、AV作品によっては、芸術性や哲学的要素を持った作品の一群が多数存在していることを忘れてはならないでしょう。
性交(本番)はないにしても、有名な作品は多々あります。それらを見れば一目瞭然といっても過言ではありません。そうすると、そのような芸術性や哲学的要素を多分に含んだ作品については、例え対償に性交が一部含まれていようと、これは芸術性や哲学的要素の表現という保護法益が優先し正当行為として違法性が阻却されるといってよいと思います。
その他にも極めて芸術性及び哲学的要素が多分に含んだ作品については国民に有益な情報が提供されるとの保護法益に着目して、違法などと評価せず、全くの適法行為として国民は享受すべきものです!
それでは、みなさんAVライフを楽しんでくださいね!
*著者:弁護士 小西一郎(坂本総合法律事務所。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を専門分野とする風俗弁護士として全国を飛び回る。