私は風俗関係の事案を専門に扱う風俗弁護士ですが、意外と風俗やそれ以外の事件の刑事弁護も扱います。
今回はこの刑事弁護における警察署の留置場についてぶっちゃけの実情を語ってみたいと思います。
この留置場内での生活について弁護人として多々思うところがあります。

●留置場への差し入れのルール
次に差し入れですが、留置場内といってもある程度の期間生活する訳ですから、必要な物を差し入れする必要があり、被疑者または被告人の親族等から依頼を受けて持参しています。ここで、まず飲食物は弁護人からでも入りません。
なぜなら、外部からの飲食店による毒殺や事故といったものを未然に防ぐために一律禁止です。
自分のお金で警察署の出入りの業者に頼むしかなく、それが嫌なら留置場で支給される食事をとるしかないのです。後、昔はタバコが差し入れとして入り、喫煙時間があったようですが現在は入りません。
やはり喫煙者が肩身の狭い思いをしているのは留置場も一緒ということでしょうか。

●衣服
次に衣服等ですが、スウェットのヒモや長い靴下も入りません。これは首を吊ったり、凶器として使われる可能性があるからです。厳しい警察署などではスウェットのヒモを抜き取るだけではなくヒモの通し穴を縫い付けて持参するようにいう警察署もありますが、警察署でその取り扱いがバラバラなのには多少不便しております。

●書籍
バラバラといえば、取り扱いが著しく警察署によって違うのが書籍の差し入れです。ポルノ雑誌はダメだとか内容に触れて差し入れを拒否する警察署もありますが、すんなり入るところもあったりします。

そのポルノ雑誌を禁止した警察署に意地悪で「警察組織の裏側」という雑誌を持参して、「これは無理ですよね~?」といったところ意外にも「私たちも読みたいくらいです」といわれ入ったこともありました。

●留置係の余計な助言
最後に留置係と被疑者または被告人との会話において弁護人としては非常に迷惑するケースをご紹介いたします。
留置場は生活安全課や刑事課などまとめて勾留されている者を管理する場所であり、基本的には、被疑事実等の事件に関することは分かりません。しかし、たまに留置係の方がいらぬ入れ知恵?をすることがたまにあります。
例えば前科や今回の罪状からして保釈が明らかに無理なのに無責任に大丈夫だといったり、罰金で終わるよとこれまた無責任にいったりする場合です。
この場合、保釈が通らなかったり、罰金ではなく公判請求された場合、怒りはすべて弁護人に向けられます。

そんなに留置係のいうことの方が正しいというなら留置係に弁護してもらえとはいいませんが、あまり考えずに無責任に希望的観測を述べないで欲しいというのが私の本音です。
刑事弁護における留置場の位置付けは代用監獄など賛否両論ありますが、少し今回のようなとるに足らないかもしれませんが、非常に身近な点も考えていきたいと思いますがいかがでしょうか。

*著者:弁護士 小西一郎(聖マグダラ法律事務所。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を専門分野とする風俗弁護士として全国を飛び回る。)