選挙権年齢を現行の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案が衆院を通過し、1946年より続いていた「選挙は20歳以上」という常識が近いうちに変わることとなります。
18歳以上となることで、新たに有権者が約240万人増えることになります。

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憲法改正のための手続を定めた国民投票法において、18歳以上の者に投票権があるものと定めていることから、政治参加という意味合いでは、国民投票権の年齢と選挙権の年齢に差を設ける理由がないため、選挙権の年齢を18歳に引き下げる公職選挙法改正案が衆議院を通過しました。
選挙権の年齢を18歳にすることは、世界の趨勢にも沿っています。

少子高齢化社会のもとでは、投票権を有する割合が高い高齢者の票を獲得しようとするため、政治は高齢者を優遇する政策に偏りがちですが、この改正によって、18歳と19歳の若者に新たに選挙権が与えられることになりますので、若者の立場をそうそう無視することはできないことになり、現在の社会に存在する世代間の様々な制度上の不平等を是正していくことが期待されます。
もちろん、若者が政治的に無関心で、効果的な投票行動に結びつかず、選挙を実施するたびに税金を無駄にするだけだといった議論もないではありません。
しかし、このような議論は、選挙権を20歳のまま据え置いても必ず登場する問題意識であり、科学的に検証しようのないものです。むしろ、幅広い世代の意見を政治に反映させるという目的の正当性を考えるとき、若者の政治的無関心については、別の形で解決していくことを模索すべきでしょう。

これまで選挙権を有していなかった若者に選挙権を与えることにより、自分の生きていかなければならない社会の仕組みに関心を持つようにもなり、斬新な感覚を政治に反映していければ、「何も変わらない政治」からは脱却していけるのではないかと思います。

*著者:弁護士 田沢 剛(新横浜アーバン・クリエイト法律事務所。8年間の裁判官勤務を経たのち、弁護士へ転身。「司法のチカラを皆様のチカラに」をモットーに、身近に感じてもらえる事務所を目指している。)