長時間の残業を苦に社員が自殺…労災認定のポイントと企業が負うべき責任とは

大手企業の新人社員だった女性の自殺が、過労死ラインとされる残業80時間を超える月約105時間の残業が原因として、今年9月に労働基準監督署から労災認定されたことが大きな話題となっています。
また、10月14日には東京労働局が一斉立ち入り調査に入ったとも報じられており、その労務管理の実態に注目が集まっています。
今回はこのような過労死・過労自殺と、企業の労災・損害賠償責任の関係について、解説していきたいと思います。
長時間の残業を苦に社員が自殺…労災認定のポイントと企業が負うべき責任とは

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

■過労死・過労自殺も労災であり、企業が賠償責任を負うことがある
労災(労働災害)とは、労働者が仕事中や通勤途中に被った負傷、疾病、死亡などのことです。
労災といったら、工場の爆発や建設現場での転落事故といったイメージが強いかもしれませんが、長時間残業で脳や心臓の疾患にかかって亡くなった場合や長時間残業で精神的疾患にかかって自殺に至った場合も労災として扱われます。
したがって、過労死・過労自殺についても、遺族は労災保険給付を請求できますし、勤務先の故意・過失や安全配慮義務違反が原因であれば勤務先企業に対して賠償請求することもできます。

■過労自殺が企業の責任となった先行事例が存在
過労自殺について遺族が企業の責任を求めた先行事例、いわゆるリーディングケースとして最高裁平成12年3月24日判決があります。最高裁は、長時間残業でうつ病にかかった労働者が自殺した場合について企業の責任を認めました。
最高裁はこの判決で、上司が労働者の恒常的長時間業務・健康状態の悪化に気づいていたにもかかわらず、仕事量を軽減するといった適切な措置を採らなかったことを過失とし、そのためにうつ病にかかって自殺したと認めました。
企業は、労働者が過重労働になっていないか、健康状態が悪化していないかに気を配らなければいけません。労働者の健康状態が悪化していると認められるのであれば、または当然そうでなくとも労働者の労働が過重になっているのであれば仕事量を調整しなければならず、そうした配慮・措置を採らなければ過労死・過労自殺について賠償責任を負うことがあります。

今回のケースでも、労働基準監督署が昨年11月上旬にはうつ病が発症していたと認定しているとのことですので、同じ頃にうつ病を認定できるような事情があったものと考えられます。勤務先や上司の方でそうした事情を把握し、労働者の長時間業務・健康状態の悪化(うつ病を思わせる事実)に気付いていたにもかかわらず適切な措置を採らなかったのであれば企業の方で賠償責任を負う可能性があります。

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
【画像】イメージです
*わたなべ りょう / PIXTA(ピクスタ)
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