亡くなった親に1,000万円の借金が発覚!肩代わりしないための対処法

亡くなった親に1,000万円の借金が発覚!肩代わりしないための対処法

*画像はイメージです:https://pixta.jp/
疎遠だった親が亡くなり、実は1,000万円もの負債があることが発覚。3人兄弟の長男だった自分(X氏)は、この負債をどう処理すべきでしょうか。
相続とは、亡くなった人の財産(遺産)を残された相続人(血族、法律上の配偶者など)が引き継ぐことです。ただ、遺産といっても現金、預金、株式、家や土地などの資産だけとは限りません。亡くなった人が借金などの負債を残すことも考えられるのです。
このような場合、負債を相続しないことはできるのでしょうか? 遺産相続に詳しい虎ノ門法律経済事務所・池袋支店の鈴木謙太郎弁護士に注意すべきポイントを伺いました。

亡くなった親に1,000万円の借金が発覚!肩代わりしないための対処法
*取材協力弁護士:鈴木謙太郎(1972年の設立以来40年以上の歴史がある、虎ノ門法律経済事務所の池袋支店で支店長を務める。注力分野は遺産相続、不動産取引、交通事故、債権回収、労働問題、債務整理、刑事事件、離婚等。「皆様の人生の一大事を共に解決するパートナーとして、真摯に業務に取り組んでまいります。」)


■借金は継ぎたくない…対応策はあるの?
X氏としては、借金は継ぎたくない、というのが本音です。
亡くなった人に借金などの負債がある場合、相続人が「単純承認」(普通にそのまま相続)すると、負債もそのまま引き継ぐことになります。そこで、対応策としてまず考えられるのが「相続放棄」です。
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産もいっさい引き継がないという意思表示です。ただし、相続人全員(3人兄弟)で遺産分割協議を行って「相続放棄をする」という意思表示をするだけでは、相続放棄をしたことにならないので要注意です。
相続放棄を行うには、X氏を含め、相続人各々(次男、三男も一緒に行ってOK)が亡くなった人(疎遠だった親)の住所地を管轄する家庭裁判所で、「申述」という手続きをする必要があります。

■相続放棄は「3カ月以内」にするのが鉄則!
ではX氏はいつまでに、この相続放棄に関する申述の手続きをすればいいのでしょう。
「相続放棄は相続人(X氏を含む3兄弟)が“相続の開始を知った日から3カ月以内”に手続きをしなければなりません。注意しなければいけないのは、この“相続の開始を知った日”が指すのが、“相続の開始(被相続人の死亡)”と“自分が法律上の相続人になった事実”の両方を知った日を指すということです。」(鈴木弁護士)
例えば、X氏の場合、親だけでなく兄弟間も疎遠だったとします。その場合、長男のX氏と次男が相続放棄したことを三男が知らず、三男のところに身に覚えのない借金取り立てが来る可能性もゼロではありません。
自分が相続人になったこと(相続開始)は知っていたけれど、“親に借金があったことを知った”のが親の死亡を知ってから、さらに3カ月が過ぎてからだった場合、相続放棄はできるのでしょうか?
「疎遠な場合などで借金のことを全く知らなかった場合、3カ月の熟慮期間が過ぎたからといって、相続放棄を認めないのはあまりに酷です。そこで家庭裁判所では、相続財産が全くないと信じ、かつ、信ずるにつき“相当な理由”があれば、親の死亡を知ってからさらに3カ月が過ぎていた場合でも、相続放棄の申述を認める対応をしています
過去の最高裁での判例から“相当な理由がある場合”としては、①法定相続人が被相続人と疎遠だったなどの相当の理由があり、②亡くなった人の借金を知らなかった、ことが認められています。」(鈴木弁護士)

■借金は放棄して自宅だけは引き継ぎたい…対応策はある?
ただ、X氏が心配なのは、相続放棄をすると自宅も手放さなければいけないことです。考えてみれば、思い出のある家。手放すのは惜しいような気がしています。
「このようなケースでは“限定承認”という方法が対応策として考えられます。限定承認とは、引き継ぎたい資産の範囲のみで負債を引き継ぎ、他の負債は放棄する方法です。プラスの財産が多いかマイナスの財産が多いか判明するのに時間がかかる場合などにも有効な方法です。
ただし、限定承認をするにはハードルが高くなります。民法での規定により、共同相続人のうち1人でも限定承認に同意しなかったような 場合には、他の共同相続人は限定承認できなくなります。」(鈴木弁護士)
“やはり、お盆やお正月には兄弟と会っておいた方がいいかな。たまには叔父のところへ遊び に行こうか” とX氏は思いました。フランクにお互いの財産のことを話せるような雰囲気だと、今後は事前に準備がしやすいかもしれません。

*取材・文:拝野洋子/はいのようこ(社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー 。はいの事務所代表。大手地方銀行入行後、税理士事務所などに勤務し助成金支給申請、損保代理店業務、行政書士補助等を経験。その後電話年金相談員、労働施策アドバイザーなどを経て、主に個人向けマネー記事等を執筆。『All  About』で出産育児・給付金ガイド、『ココライン』にて子育て・お金アドバイザー、ほか『Woman money』 、『マネーの達人』などに執筆。Yahoo!Kazok「妊娠出産手続き得するお金チェックリスト」、ダイヤモンド・ザイなどの雑誌で監修。HP「気軽に相談!人と保険とお金の情報テラス」、ブログ「家計にやさしい年金保険講座」
【画像】イメージです
*チータン / PIXTA(ピクスタ)
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