オフィスで同僚が私物を勝手に持っていく…訴えられるか真面目に考えてみた

オフィスでは自分用の机とイスが用意され、自由に使用することができます。もちろんそれは企業が貸し出ししているだけなのですが、在職中はほぼ「私物」となります。
デスクワークの方なら、机の引き出しにボールペンやハサミなどの文房具をはじめ、ちょっとした合間に食べるお菓子、タバコ、ティッシュなど私物をしまっている人がほとんどだと思います。
ある日、会社に来てみたら「タバコがなくなっている」、「ハサミがなくなっている」、「お菓子を食べられた形跡がある」。このような経験を持つ人は、意外と多いのではないでしょうか?
明らかに第三者が自分の机を開け、何かしている。大多数の人はそれでも「たいしたことではない」とやり過ごしていることでしょう。もちろん、気分のいいことではないのですが。
仮に犯人をつきとめている場合、なんらかの制裁を与えたい気もします。法的措置をとることは、果たして可能なのでしょうか? 諏訪坂法律事務所の多田幸生弁護士にご意見を伺いました。

Q.オフィスでの机の中からタバコやお菓子を勝手に持ち出される…訴えることはできる?
オフィスで同僚が私物を勝手に持っていく…訴えられるか真面目に考えてみた

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

A.難しい。
「“訴えるのは難しそうだ”という結論は、弁護士に聞かなくてもなんとなくお分かりいただけると思います。
ですが、せっかくですので、ここでは少し真面目に考えてみましょう(仮に、タバコやお菓子の金額は500円とします)。考えることは2つあります。刑事上の問題と、民事上の問題です」(多田弁護士)

■刑事上の問題は?
「まず刑事上の問題を考えてみましょう。
タバコやお菓子は500円する立派な“財物”ですから、刑法上は“窃盗罪”(刑法235条)に当たる可能性があります。ですが、現実問題としては、警察に捜査してもらおうと思ったら、あなたは警察に「告訴状」を出さなければなりません。
告訴状の作成を弁護士に依頼することもできますが、間違いなく500円以上かかります。なので、自分で作ることになるでしょう。こうして自分で作った“告訴状”を警察署に持っていったとしても、被害が500円では、警察が動いてくれることはないでしょう。
同僚の窃盗行為に、刑罰を科すほどの違法性がないからです(“可罰的違法性がない”といいます)。刑事上はここで終了です。どうやら、会社の同僚に刑事罰が科されることはなさそうだというのが結論です」(多田弁護士)

■民事上の問題は?
「次に民事上の問題を考えてみましょう。
タバコやお菓子はあなたの所有物ですから、それを勝手に取っていく行為は、民事上は“不法行為”(民法709条)に当たる可能性があります。この場合、あなたは同僚に500円の損害賠償を請求することができます。
では、同僚がすんなり支払ってくれなかったらどうなるでしょう。あなたが利用することができる裁判手続がいくつかあります。少額訴訟、民事調停、支払督促などです。いずれも費用がそれなりに(500円以上)かかります。
例えば、少額訴訟を提起する場合、最低でも収入印紙代1,000円、予納郵券代3,980円等が必要になります(東京簡易裁判所の場合。事情によりさらに多額になることがあります)。
裁判所に通う交通費もタダではありません(なお、訴状は、告訴状の場合と同様に、あなたが自分で作ることになるでしょう)。こういった訴訟にかかった費用は、あなたが勝訴すれば、一部、同僚に請求することができます。
ですが、そもそも同僚がお菓子代500円を払ってくれないから、訴訟を提起したわけですよね? 訴訟費用だって、払ってくれないのではありませんか?
結局、民事上は、金銭面で割に合わず、裁判手続を取るのは難しそうだというのが結論になります」(多田弁護士)

他人の物を取る許せない行為ですが、タバコやお菓子など被害額が少ない場合は可罰的違法性がないため、警察が動いてくれるケースは殆どないようです。
また、民事についても裁判手続にかかる経費のほうが高く付くため、割に合いません。不愉快に感じている場合は上司への報告や本人へのクレームなど、自己で解決の道を切り開くしかないようですね。

*取材協力弁護士:多田幸生(小野総合法律事務所所属。会社法務・企業法務の豊富な経験があり、大手証券会社の法務職としての経歴を活かし、「守りの法務」だけでなく「攻めの法務」を提供。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
【画像】イメージです
*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
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