法律を破ると罰せられますし、倫理的にも大きな問題のある行為と言えます。平和と安全を守るためには、法律の遵守はとても大事なことです。
──が、いけないと分かっていても、心のどこかが惹かれる場合もあります。そう、例えば“怪盗”です。

物を盗むのは、決して許されざる行動のひとつ。しかし、フィクションの世界であれば、胸がワクワクさせられる場合も少なくありません。ブラウン管越しに「ルパン三世」の活躍を楽しみにしていた方もいれば、「まじっく快斗」の怪盗キッドに胸を射抜かれた人もいるはず。「キャッツアイ」のように、予告状を出した上で奪い去るのもシビれます。


実際の被害が出ないフィクションの世界であれば、倫理的な問題を問うのはまったくのナンセンス。その点がクリアされれば、彼らの巧みなテクニックや意外な発想、そして大胆極まる活躍に、心を奪われるなと言う方が難しいでしょう。

その気持ちは、「怪盗」そのものへの憧れに繋がることも往々にしてあります。ですが、こちらは残念ながら現実世界の住人。怪盗行為を行えば捕まりますし、万が一逮捕されずとも、犯罪に手を染めた事実は変わらず、一生背負わなければなりません。

ですが──犯罪にならず、合法で「怪盗」になれるとしたら? そんな夢を叶えてくれる驚きのアート展が、7月10日より開幕します。
その名もズバリ、「盗めるアート展」です!

「盗めるアート展」って、どういうこと?
品川区荏原にある「same gallery」で行われる「盗めるアート展」は、“アーティストの作品を、来場者が盗んでいい(=持ち帰れる)”というコンセプトの展覧会。会期中、会場にはセキュリティなどは置かれず、24時間無人営業となるので、誰でも簡単に「アート泥棒」(本展覧会における、作品を持ち帰る方を指す言葉)になれるのです。

盗む行為にはいくつかルールが用意されており、「盗んでいいのは、展示されている作品のみ」「近隣のご迷惑にならないよう静かに、マナーのある泥棒行為を」「作品の持ち込み、設置は禁止」「盗む作品は、一組につき一点限り」等々を守る必要があります。しかし逆に言えば、ルールさえ守れば誰でも合法で怪盗になれる、絶好のチャンスなのです。

怪盗や泥棒をモチーフにした作品は、ゲーム業界にも複数あります。TVアニメ化も果たした『ペルソナ5』は、少年少女の成長と葛藤を描くジュブナイルシリーズに、ピカレスクロマンを融合させた刺激的な一作。
彼らが盗むオタカラは、対象の内面に秘めたモノですが、予告状を送ってその心を盗む姿は、まさに“怪盗”の一言。ジョーカーのような華麗な立ち振る舞いで、「盗めるアート展」に挑む怪盗が現れないか、興味津々です。

また、美術館に侵入して芸術品を盗み出す『リズム怪盗R』は、「盗めるアート展」のシチュエーションにやや近いかもしれません。『リズム怪盗R』は、タイトルにもある通りリズムゲームなので、リズムを刻みながら「盗めるアート展」に侵入し、華麗なダンス姿で逃走する──そんな怪盗を、この機会に見てみたいものです。

ちなみに「盗めるアート展」の会場内には監視カメラがあり、インターネット上での中継や、録画動画などが公開される場合もありますが、なんと「マスクや仮面の着用」は許されています。ルールを守るアート泥棒であれば、プライバシーを守りつつ怪盗行為に励めるのも嬉しいポイントです。
ジョーカーの仮面姿も全面的にOKです。

盗み方そのものは(ルールを破らなければ)問われないので、飾ってあるものをそのまま持ち出すのもアリかと思いますが、せっかく怪盗気分が味わえる機会なので、盗み方にも凝りたいところ。

王道な展開ならば、事前に予告状を出した上で、「来場者の安全に配慮し、該当作品を一時的に保管します」と警備員が作品を回収。その後、関係者が来て「今ここに、不審な人物が来ませんでしたか? え、警備員? そいつが怪盗だ!」という流れもいいですね。まさに定番。この場合、関係者まで含めてアート泥棒側で用意するのが、美しい怪盗姿と言えるでしょう。


ちなみにこのアート展、7月19日まで開催予定ですが、全作品が盗まれた場合、その時点で閉展。アート泥棒志願者は、ほかのアート泥棒に盗まれる前に、華麗な怪盗劇を披露しましょう! ちなみに、7月10日 午前0:00より、泥棒タイムがスタート。憧れの怪盗になりたい方は、詳細や注意事項を公式サイトでチェックし、華麗な盗みにチャレンジしてみてください。

■盗めるアート展
https://samegallery.com/S_A_E