『ゼルダの伝説』シリーズには、長い歴史のなかで数多くの名作が生まれてきました。そのなかでも、1998年にNINTENDO 64向けに発売された『ゼルダの伝説 時のオカリナ』は、今なお特別な存在として語り継がれている作品です。


そんな『時のオカリナ』がスイッチ2向けにリメイクされ、2026年11月5日に発売されます。本作は発表以降大きな注目を集めていますが、オリジナル版の登場から数えて長い年月が経った今、なぜこれほどまでに盛り上がっているのでしょうか。

もちろん、『時のオカリナ』が歴史的な名作であることも大きな理由ですが、それだけが要因ではありません。スイッチ2版『時のオカリナ』が、これほど期待されている背景に迫ります。

■斬新さとともに進化してきた『ゼルダの伝説』
シリーズの幕開けを飾った1作目の『ゼルダの伝説』は、ファミコン時代に登場。今から遡ること40年前の1986年2月21日に、ファミリーコンピュータのディスクシステム向けソフトとしてデビューしました。(後にカセット版も発売)

『ゼルダの伝説』は、この時代にいち早く「探索の面白さ」と「ひらめきによる謎解き」を確立させ、多くのプレイヤーから好評を博しました。作中の世界を手探りで探索し、気になる場所を見つけ、そこから先へ進む方法を自分で考える。その自由度と手応えは、後にシリーズの魅力を担う中核的な要素となります。

鮮烈なデビューを飾った1作目の後は、シリーズ全体を通しても珍しいサイドビューアクションを採用した『リンクの冒険』を挟み、スーパーファミコン向けに『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』が登場します。

『神々のトライフォース』は、シリーズでは3作目、見下ろし型としては2作目にあたる黎明期の作品ですが、この時点ですでに2Dゼルダの基礎をほぼ固めてしまうほど、高い完成度を誇っていました。

さらにその後には、シリーズ初の携帯機向け作品となる『ゼルダの伝説 夢をみる島』も登場。
デビュー作、サイドビューアクション、2Dアクションとしての完成形、そして初の携帯機向け作品と、シリーズの幕開けを飾った作品群は、それぞれ異なる形で新たな挑戦を見せてきました。『ゼルダの伝説』は、常に新鮮な遊びを模索しながら進化してきたシリーズだったのです。

■『時のオカリナ』が切り開いた3Dゼルダ
そんな刺激的なシリーズの最新作(当時)として、1998年にリリースされたのが、NINTENDO 64ソフト『ゼルダの伝説 時のオカリナ』です。これまで登場したシリーズ作はいずれも刺激的でしたが、本作は過去作以上に新たな挑戦に臨んでおり、なんと世界のすべてを3Dで立体的に描きました。『ゼルダの伝説』における3Dアクションゲームへの進出は、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』によって切り開かれたのです。

世界が立体的に広がったことで、シリーズが育ててきた「探索の面白さ」はさらに幅を増しました。これまで以上に遠くまで見渡せる世界を歩き回り、立体的な地形を活かしながら進んでいくことで、探索そのものが新しい体験へと変化しています。同時に、「ひらめきによる謎解き」も、3D空間を活用することで奥深さを増しました。

『時のオカリナ』は、単純に2Dゼルダを3Dに置き換えただけではありません。従来のシリーズが持っていた魅力そのものを3Dと強固に結びつけ、互いの長所を引き出す相乗効果によって、素晴らしいゲーム体験を生み出したのです。

■『時のオカリナ』を支えた画期的なカメラ「Z注目システム」
また、『時のオカリナ』が評価された理由は、従来の魅力の増幅だけに留まりません。3D化に合わせて導入されたシステムも好評を博しており、そのなかでも「Z注目システム」には多くの賞賛の声が寄せられました。


当時、PlayStationの登場などをきっかけに、3Dゲームが一気に増加します。しかし、ゲームの世界が立体的になったことで、それまでの2Dゲームにはなかった問題もいくつか生まれます。敵との距離感をつかみにくくなることも、そのひとつでした。

そうした時代のなか、『時のオカリナ』では、敵を画面中央に固定する「Z注目システム」を導入しました。リンクを前後左右に動かしても敵を中心に視点が固定されるため、戦闘中に敵を見失う心配が少なく、相手との距離感も把握しやすくなっています。当時の3Dアクションにつきまとっていたもどかしさを、見事に解消したシステムでした。

こうしたロックオン的な仕組みそのものは、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』よりも先に実装した作品も存在します。しかし、「Z注目システム」が特に優れていたのは、プレイヤーが操作するリンクによって視界が妨げられないよう、敵とリンクの位置関係に応じてカメラが自動的に調整される点でした。

「プレイキャラクターは画面の真ん中に置く」という固定観念にはとらわれず、「どうすればプレイヤーがスムーズに遊べるのか」を考えて作られた「Z注目システム」は、プレイ体験を快適なものへと導き、その遊びやすさも格別でした。

こうした優れたシステムに支えられながら、「探索」と「ひらめき」の魅力がさらに増幅されたことで、『時のオカリナ』は名作と呼ぶ声が相次ぐほど高く評価され、多くのプレイヤーに鮮烈なゲーム体験を残したのです。

■『時のオカリナ』が現代に届くまでの長い道のり
シリーズ初の3D化を果たし、ゲーム史に名を残すほどの名作となった『ゼルダの伝説 時のオカリナ』。しかし、この名作にアクセスできる手段は、これまで決して豊富ではありませんでした。


まず残念なことに、NINTENDO 64自体の売れ行きが芳しくなかったため、オリジナル版を遊べた人自体が少なかったのです。『時のオカリナ』をプレイした人が高く評価しても、NINTENDO 64を持っていなかった多くのユーザーは、羨ましく思いながらも指をくわえるほかなかったのです。

それから13年後となる2011年に、待望のリメイク版が登場します。当時遊べなかった人にとっては、まさに念願の展開と言えるでしょう。しかし、このときリメイク版が発売されたハードはニンテンドー3DS、つまり携帯機でした。

もちろん、携帯機には携帯機ならではの魅力があります。TVを占有せず、しかも場所を選べる利便性の高さは、代えがたい魅力です。

しかし、3Dで描かれた広大な世界を描くのは、携帯ゆえの小さな画面でした。「『時のオカリナ』の世界を大画面で遊ぶ」という体験を求めるプレイヤーにとっては、どうしても物足りなさが残ります。

それからさらに時が過ぎ、2021年に「Nintendo Switch Online+追加パック」のサービスが始まりました。その初期ラインナップにはNINTENDO 64版『ゼルダの伝説 時のオカリナ』も加わり、これでようやく大画面で『時のオカリナ』を遊ぶ環境が身近になりました。

ただし、このサービスが始まった時点で、オリジナル版の発売から23年が経っています。
往年の名作を懐かしむ手段として十分に楽しめる一方、現代のゲームに慣れたプレイヤーにとって、23年前のプレイ感にはどうしても古さを感じる部分があります。

オリジナル版はハードの不振から遊びにくく、最初のリメイク版は携帯機としての制限があり、ようやくスイッチで遊べるようになった時には、時間の流れが立ちはだかった『ゼルダの伝説 時のオカリナ』。高いポテンシャルを持ちながら、状況と時代に翻弄されてきた作品ともいえます。

■ファンにも新規ユーザーにも嬉しい、名作の再出発
ゲーム史に残る名作として高く評価され、多くのプレイヤーから賞賛されてきた『ゼルダの伝説 時のオカリナ』。一方で、新規ユーザーがその魅力に触れるには、ハードや時代の壁がありました。しかし、スイッチ2向けにフルリメイクされるとなれば、状況は一気に変わってきます。

当時『時のオカリナ』を遊んだプレイヤーにとっては、「あの頃に味わった体験を、最新のゲーム環境でもう一度楽しめる」という点だけでも、大きな魅力となることでしょう。かつて冒険した世界を最新の表現で見つめ直し、懐かしい場面を新たな感覚で体験できると考えるだけで、再プレイに胸が高鳴る人も多いはず。

そして、新規ユーザーにとっても、スイッチ2向けのリメイク版は大きな意味を持ちます。長いあいだ名作として語り継がれてきた『時のオカリナ』が、現代のプレイヤーにも馴染みやすいプレイ感覚で楽しめる絶好の機会となるからです。

従来のファンをもう一度ときめかせながら、新規ユーザーにも理想的な環境を提供する──そんな『ゼルダの伝説 時のオカリナ』が実現するのであれば、注目が集まるのも当然といえるでしょう。

シリーズの歴史を大きく変えた名作が、現代のゲーム環境でどのような体験として蘇るのか。
スイッチ2で遊べる新たなリメイク版『ゼルダの伝説 時のオカリナ』に、期待が高まります。
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