前回紹介したミニチュアゲーム『フロストグレイブ』が先月ついに発売! 読者のみなさんの中には、『フロストグレイブ』からミニチュアゲームを始めてみようと、さっそくミニチュアやルールブックを買ったという方も多いはず。(フロストグレイブの解説はこちらからどうぞ)

そこでアナログゲーム決死圏では、これから何回かに分けて『フロストグレイブ』からミニチュアゲームを始める方法を紹介していきます。


その第1弾として紹介するのはゲームに使うミニチュアの簡単な組み立て方。基本的には『フロストグレイブ』で使うことを前提とした初心者向けの内容となりますが、TRPG用のミニチュアを作る時にもそのまま応用できますよ!

◆組み立てるミニチュア

組み立てるのは、こちらの『兵士ボックス』。『フロストグレイブ』で魔法使い(ウィザード)の下で働く様々な種類の兵士を20体作れるプラスチック製のミニチュアのセット。兵士はゲームでは8体しか使いませんが、編成を変えるためのバリエーションをたくさん作ることができます。

今回は数ある『フロストグレイブ』の兵士の中でも最低級の「ごろつき(サグ)」を作ってみることにします。「ごろつき」は、能力は低いものの、その雇用コストの安さで魔法使い一行(このゲームではウォーバンドと呼ばれます)で支える頼もしい奴ら。


キットの構成はこんな感じ。キットにはパーツが付いたランナー(枠)が4枚とベース(台座)が入っています。それではこの中から「ごろつき」らしいパーツを選んでいきましょう。

『スカイリム』や『オブリビオン』の路上で主人公に襲いかかってきそうな、ごろつき感にあふれた頭パーツが10種類も入っているので、どれにするか迷ってしまいますね。デフォルメの効いた造形ですが、すごく細かいところまで作りこまれているのがわかるはず。

◆切り離し

まずはパーツをランナーから切り離します。
パーツを切り離すのには、プラスチック用のニッパー(写真下)を使うことをオススメします。

ニッパーは100円ショップでも買えますが質が悪いものも多く、うまく切れなかったりして結果として手間が増えるので、可能であれば模型用のニッパーの方がいいでしょう。とりあえずニッパーは1000円くらいのもので十分なはず。刃の部分が大きいと使い辛いので小さめなヤツのほうがいいかもしれません。

ちなみに、ミニチュア組み立て用のツール全般に言えることですが、ミニチュアゲーム関連メーカーでツール出している会社もあります。しかしながら、日本は手頃な値段の模型関連アイテムが充実しているので、それを活用することをオススメします。


ツールはだいたいミニチュアゲーム屋さんや模型店はもちろん、アマゾンや模型を扱う家電量販店の通販サイトでも手に入りますよ!

切り離すときはちょっとだけ離れたところを切るとよいでしょう。ギリギリで切り過ぎるとパーツが少しえぐれてしまうことがありますからね。

切り残したところは、デザインナイフ(アートナイフとも。写真中央)で切るか金属ヤスリ(写真上)で削り落としましょう。デザインナイフは指を切らないように気をつけてくださいね。刃を自分側に向けないようにすると怪我の防止に繋がります。


デザインナイフは500円~、プラモデル用の金属ヤスリは3本セットで400円~で買えるはず。どちらか片方でも十分ではありますが、両方あるとなにかと便利です。

■オプション:バリ取り
ミニチュアを作るという目的では必須では無いのですが、やっておくと見栄えがよくなるのが「バリ取り」。バリ(パーティングライン)とはパーツの製造時に金型の隙間に素材が流れ込んで起こる出っ張りのこと。

バリは塗装していない時はそんなに目立たないのですが、塗装をすると結構目立つようになります。とはいえ、一般的にミニチュアゲームは盤上でミニチュアに近づいてじっくり見ることはあまりないので、細かいことを気にしない人はバリ取りはしなくてもいいかもしれません。


バリは先程と同じくデザインナイフやヤスリで削り落とします。デザインナイフを使うときはパーツ本体を削らないように、バリに対して刃を垂直に立て、バリを撫でるように削るとよいでしょう。

■オプション:仮組みこちらも必須では無いのですが、やっておくといいのが仮組み。一般的にミニチュアゲーム用のキットに説明書はないので、パーツがちゃんと対応しているのかを確認するのは大事です。

また『兵士ボックス』のように、パーツのバリエーションやポーズの幅があるものは、パーツ同士が干渉しないかをチェックする必要がありますし、なによりカッコイイポーズをしっかり決められるかどうかを先に見ておくとよいでしょう。

ちなみに、仮組みの時に便利なのが粘着ラバー『ブル・タック』。
練り消しゴムのような感じの製品で、本来は画鋲の代わりにポスターを貼るためのものですが、簡単に張り付き、汚れがつかずに剥がすことが出来、さらに繰り返し使えるので便利。

『ブル・タック』は、文房具店やアマゾン等で500円前後で販売中。類似品として『ひっつき虫』がありますが、こちらも同じように使えます。ミニチュアの製作以外にも色んな所で役に立つのでかなりオススメ。

というわけで、いろんなパーツを切り離してブル・タックで貼り、「ごろつき」を仮組みしてみました。ランタンであたりを照らし宝を探す「ごろつき」と謎めいた袋を担ぐ怪しい「ごろつき」。

ちなみに『フロストグレイブ』の「ごろつき」はハンド・ウェポン(ゲーム上では剣や斧などの片手で持つ武器はまとめてこう呼ばれます)を装備していて片手には盾や別の武器を持たないのというルールなのでこんな感じにしています。

今回はついでに二刀流で戦う宝探しの専門家「遺跡あらし(トレジャー・ハンター)」も仮組みしてみました(写真左)。

「遺跡あらし」は、探検のプロっぽさを出すためにロープや工具入れ、背嚢などを持たせてみました。こういう装備は、『D&D』とかのファンタジーTRPGのキャラっぽい雰囲気がありますよね。

使うパーツとポーズを決めたらブル・タックを綺麗に剥がしていよいよ接着です。

◆接着
それでは最後に接着。プラスチック製のミニチュアのパーツは、瞬間接着剤でも接着できますが、出来れば「プラセメント」と呼ばれるプラモデル用の接着剤で接着するとよいでしょう。プラスチックを溶かしてしっかり接着できます。

プラセメントはだいたい400円~で売られています。こちらも模型店やアマゾン、家電量販店の通販サイト等で入手できます。

ドロッとしたタイプと流しこみタイプがありますが、個人的にはミニチュア用にはドロッとしたタイプ(写真の物)の方が好み。このタイプは有機溶剤が入っているので換気ををしながら使いましょう。

こんな感じで蓋についたハケで接着剤を塗って、パーツ同士貼り付けて、ポーズを調整したら後は終わり。数分で大体かたまりますが、1時間もすれば完全に固まります。はみ出てしまった部分は完全に固まったあとで、デザインナイフで削り取るとよいでしょう。

◆組み立て完了!

というわけで「ごろつき」の出来上がり。完成するとこれくらいの大きさになります(10円玉もブル・タックで立たせているよ。便利!)。未塗装でも十分かっこいいですよね。

今回は付属の円形のベースを接着していますが、『フロストグレイブ』のミニチュアはベースの形は自由なので、例えば、他に使う予定のミニチュアが四角いベースに乗っていたら同型のベースを用意して乗せると統一感が出ていいかもしれません。

長々と書いてはいますがやっていることは非常にシンプル。慣れてくれば10分立たずに一体組み立てることができるようになるでしょう。ぜひこの記事を参考に、ミニチュアを組み立ててみてくださいね!

今回使った『兵士ボックス』は、定価5000円(税込)で公式ストア及び取扱店で販売中。記事執筆現在では、品切れ中のようですが、9月下旬ごろには入荷するとのこと。入荷の告知等は公式Twitterアカウント(@frostgravejapan)で行われるはずなので、気になる方は要チェック。

また、『フロストグレイブ 基本ルールブック日本語版』は定価6000円(税込)で発売中。ルールブックはアマゾンでも買えますよ。

次回以降は『フロストグレイブ』や他のミニチュアゲームで多く使われている金属製・レジン製のミニチュアの組み立て方、ミニチュアの塗装方法、そしてゲームの遊び方を紹介予定。乞うご期待!

■傭兵ペンギン
フリーライターとして働く傍ら、時々アナログゲームの翻訳をしております。アナログゲームと筋肉映画が大好物。最近はホビージャパンのテーブルゲームチャンネルでTRPG『ウォーハンマーRPG』のプレイ風景を生配信する番組に出演中。アーカイブ動画もありますので、是非チェックしてみてね!
Twitter:@Sir_Motor