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お友だちと玩具の取り合いになり、「順番に使おうね」と声をかけたら、「うわ~ん」と泣きながらママを叩き始める。

ボタンがうまくかけられないと癇癪を起し、手伝おうとしたら、ママにパンチ。

幼児のこうした姿に、困ってしまうママは、少なくありません。

この記事では、18年間様々な立場から子育てに携わり、米国発”ポジティブなしつけ講座”認定講師でもある筆者が、幼児がなぜママを叩くのか、そしてその対応についてお伝えします!

幼児はなぜママを叩くの?知っておきたい理由と対応

▼幼児はなぜママを叩くの?

幼児がママを叩く場合、次のような理由が考えられます。

●感情表現の仕方が分からない

幼児は、“環境”とその子が生まれ持った“性質”に影響を受けながら、感情表現の仕方を身につけます。もし「この子は手が出やすい」と感じる場合は、まずは、その子がおかれた“環境”を見直してみましょう。

例えば、周りの大人が、叩くことを”しつけの手段”として日常的に用いていませんか。

また、身近な大人が一切叩くことをしていなくとも、テレビなどのメディアや、交友関係などから、「思い通りにならないのなら、叩けばいい」と、学んではいないでしょうか。

とはいえ、同じような環境で育った兄弟姉妹でも、手が出やすい子と、全く手が出ない子がいるように、“環境”のみに理由があるわけではなく、その子の持つ”性質”によるところも大きいもの。

“環境”と“性質”、いずれの理由にしても、叩くことを感情表現として身につけつつある場合には、根気よく、”叩く以外”の表現の仕方を教えてあげましょう。

●ママに気持ちを分かってほしい

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周りの子や人には手を出さないけれど、幼児がママだけを叩く場合には、「大好きなママにこそ、自分の気持ちを分かってほしい!」という気持ちが強いものです。

「こんなに悔しいのに、悲しいのに、イライラするのに、ママは分かってくれない!」

そうした“強い気持ち”が、”ママを叩く”という行動として表れてしまうことがあります。

この場合も、子どもの気持ちを満たすよう心がけながら、”強い気持ちを表現する仕方”を、示してあげましょう。

▼幼児がママを叩くときの対応4つ(1)できるだけ落ち着き、叩き返さない

時に、まるでママが痛がるのを楽しむかのように、笑いながら叩き続けることもあるかもしれません。

そんな幼児の姿に、ママが”怒り心頭”となるのも当然のこと。

そして、思わず手が出たり、「叩かれる側の痛みを分からせるために、叩き返すのがいい」と、思うかもしれません。

それでもまずは、「この子は、感情表現の仕方を学び中」と思い出しましょう。

もし、ママが怒り心頭で幼児を叩き返すとするなら、幼児が学ぶのは、「怒ったときは、叩けばいい」という“感情表現の仕方”です。

幼児は、ママが痛がるのを可笑しく思い、笑っているわけではありません。動揺や不安の高まりを緩めるために、笑っていることが多いです。

ですから幼児に必要なのは、ママに怒りをぶつけられ感情をより爆発させるよりも、まずは、落ち着くことです。

(2)幼児の気持ちに寄り添いながら、はっきりと「やめてね」と伝える
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「あの玩具でもっと遊びたいね」と、その子の気持ちを理解し、言葉にしてあげましょう。

「ママに気持ちを分かってもらえた」と感じることで、子どもの気持ちもより満たされ、落ち着いていきます。

そして、子どもの目を見て、叩こうとする両手をしっかりと持ち、「でも、叩かれたらとっても痛いのよ。叩くのはやめてね」と、はっきり伝えましょう。

それでも、叩こうとしたり、蹴ろうとするかもしれませんが、そのたびに、その子の手や足をしっかりと持ち、「悲しいね、悔しいね。

でも、叩くのはやめてね」と伝えます。

何度も何度も繰り返す必要のある子もいますが、叩こうとする度に、“感情表現を学ぶチャンス”として受け止めてみましょう。

(3)落ち着く方法を工夫する

幼児にとって、気持ちを落ち着けるために最も効果的なのは、大好きなママとの”つながり”を感じること。それには、ぎゅ~と抱きしめてしまうのも方法です。

叩いたり蹴ったりもできなくなりますし、次第に、幼児の気持ちも落ち着きます。

(4)強い感情への向き合い方を示す

足で地面をどんどんする、こぶしを握って振る、腕を組んで頬を膨らますといった”叩く以外”の表現を、「悔しい時にはそうするといいね」と認め、「でも、叩くのはやめようね」と伝えましょう。

また、「この玩具でもっと遊びたいからお友達に待ってほしいんだね」など、気持ちを言葉で繰り返し表してもらうことで、幼児は、言葉で感情表現する姿勢を学んでいきます。

叩く子は、まだまだ言葉を操る力が未熟な中、”強い感情”を表現する仕方について、学ぶ過程にあります。

時間がかかるかもしれませんが、忍耐と工夫を持って、わが子を導いてあげたいですね。

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