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生理の出血には慣れていても、予想外のタイミングで出血があって動揺してしまうこともあると思います。

通常の生理以外の出血はおおまかに「不正出血」と呼ばれますが、不正出血の中にはさまざまな種類があります。

今回は排卵期に起きることがある「排卵期出血」を中心に、医学博士の川上智史先生に説明していただきました。

「排卵出血と不正出血」の違いは?妊娠にどう影響するの?

排卵出血って?

一般的に妊娠とは、精子と卵子が出会って受精し、受精卵となってから子宮内膜に着床して初めて妊娠成立となります。

そのためにはまず、卵巣からの卵子が排出されることが必要で、これを一般的に「排卵」と言います。

通常の排卵は月経と月経の間に起こりますが、この排卵時に出血することがあります。

通常の出血は受精卵の着床が起きなくて子宮内膜が剥がれたとき、いわゆる「月経」のときに起きますが、それ以外の時期に起きる出血を「不正出血」と呼びます。

このような考え方でいくと排卵期に起こる出血も不正出血に含まれますが、一般的な排卵出血は「中間期出血」とも呼ばれ、病気が原因ではないものを指します。

排卵出血が起きる仕組み

一般的な排卵出血は、どのような仕組みで起きるのでしょうか?

女性の身体は非常に繊細で、さまざまなホルモンによって月経の周期を一定に保っています。

特に女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンが関係していて、排卵前にはエストロゲンが、排卵後にはエストロゲンに加えてプロゲステロンも分泌されます。

排卵期には卵巣内の卵胞からエストロゲンの分泌量が急激にアップダウンします。これによって子宮内膜の一部が剥がれ落ちて、生理に似た出血が起こることがあり、これを排卵出血と呼んでいます。

つまり排卵出血はホルモンの分泌量の変化によって引き起こされるのです。

「排卵出血と不正出血」の違いは?妊娠にどう影響するの?
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ここで一度、出血から離れて、「おりもの」について見ていきます。

正常なおりものは前述の女性ホルモンであるエストロゲンの分泌によって出てきます。

一般的には排卵の数日前に正常なおりものが出てくるとされています。正常なおりものは、臭いなどは無く少し白っぽい、もしくはさらさらの透明な液体です。

このおりものに、排卵出血によって血液が混ざることがあり、茶褐色やピンク色のおりものが出ることがあると言われています。

妊娠にどう影響するの?

通常の排卵期のホルモンの影響による排卵出血であれば、その後の妊娠などに影響はありません。

ただ、前述したように女性の身体は非常にデリケートです。

環境の変化やストレスなどによって、排卵期でなくとも(無排卵で)出血をしてしまうこともあります。これは要注意です。

無排卵の可能性を考えるためは、普段からできる限り基礎体温をつけて、低温期と高温期を確認できるようにしておきましょう。自然な排卵による出血か、それとも不正出血なのか、ある程度は可能性を検討できるようにしておきましょう。

場合によっては、排卵出血かと思っていたら、実は女性器関係の病気であったと言う可能性もあります。

出血が数日続くなど、異常を感じたときには、早めに婦人科を受診するようにしてください。

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