松戸市にあるパン屋で、なぜお客は1800円も使うのか

土肥: なんと、それはひどい。

伊原: ただ、その担当者も悪気があって言ったわけではありません。ガラス張りではないパン屋はほとんどなかったので、「このままではうまくいかない。お客さんに分かりやすいデザインのほうがいいですよ」といったアドバイスでした。後日、店の遠くを歩いている人でも、パッと見てパン屋であることが分かるデザインを提案してくれました。ガラス張りになっていて、パンがズラリと並んでいることが分かるといった外観ですね。

土肥: それでも、外から商品が見えないデザインにしました。なぜ、そこまでこだわったのでしょうか?

伊原: この店は西側を向いていて、西日が強いから。ただ、それだけ(笑)。日が当たり続けていると、パンにとってあまりよくないんですよね。西日が強いときにはカーテンを下ろすなどして対応することもできますが、それだと外を歩く人からパンを見ることができません。であれば、いっそのことパンを隠したデザインにしてしまえと思ったんです。

 で、店は完成。当時、お客さんからどのような反応があったのか。「あれ? パン屋さん、つぶれたの?」「スナックになったのね」といった声がたくさんありました(涙)。

「焼きたて」のパンをどんどんつくる


土肥: 先代の店を引き継ぐ形で、店は2000年にオープンしました。当時の売り上げは、どのような感じでしたか?

伊原: 売り上げは、いまの10分の1ほど。ただ、すぐにお客さんが増えて、売り上げも伸びていきました。多くの人から「なぜですか?」「その要因は?」と聞かれるのですが、よく分からないんですよね。つくっているパンを変えたわけではありませんし、レシピも大きく変えたわけではありません。30年前から同じレシピでつくっている商品も、たくさんあるんですよね。当時、パンブームが起きていたので、その流れにうまく乗れたからかな。

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