
そんな買い物行動に、新たな選択肢を提供するプロジェクトを三井不動産が立ち上げた。家の近くに、飲食や日用品、サービスなど複数のお店がやってくる「移動商業店舗」だ。2020年9~12月に首都圏5カ所でトライアルを実施。21年4月以降の本格展開を計画している。
三井不動産といえば、「ららぽーと」など大型商業施設の運営を手掛ける。大規模な施設で集客するビジネスと比べると、移動商業店舗は人々の生活圏という小さな範囲を対象とする事業だ。同社がこのプロジェクトで描く、新しい街の在り方を探った。
コロナ禍の買い物ニーズにも合致
都心のマンションの敷地内に、色とりどりの車が並ぶ。近隣に住む人たちが訪れ、移動店舗のスタッフと会話をしながら商品を購入したり、サービスを体験したりして時間を過ごす――。東京・豊洲や晴海、板橋などで実施した移動商業店舗のトライアルイベントでは、飲食やアパレル、雑貨、包丁研ぎ、お香、靴磨き、整体など10業種11店舗が参加。近隣に住む人たちでにぎわった。
「移動商業店舗は、お店とお客さまの距離が近い。トライアルではリピート率も高かった」。そう振り返るのは、このプロジェクトを担当するビジネスイノベーション推進部の後藤遼一氏。新型コロナの影響で、人が多く集まる店などに行く頻度が減る中で、密になりにくい、地域密着型の移動店舗が「買い物を楽しむ」ニーズに合ったようだ。