東京にも本格的なスノーシーズン到来!東京がお江戸と呼ばれていた時代には、雪が降ったらどうしていたのでしょうか?ちょいと覗いてみましょう。

■雪だるまつくろう

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菊川英山「雪遊び」ボストン美術館蔵

江戸時代の雪だるまといえば、達磨大師の形をしたものがメジャーでした。
この絵の雪だるまもちゃんとした達磨の形ですが、それよりも変な表情に目が行きます。

子供たちは他にも雪だるまを作ろうとしている様子。かじかむ手をハーハー吐息で温めながら、自分と同じくらいの大きさの雪玉を交代で転がしています。おっ母さんの背中に負われた赤ちゃんも、手を伸ばして触りたさそう。

さて、そんな子供たちとおっ母さんの足元をよく見て下さい。これは足駄(もしくは高下駄)と言って、雪に埋まらないようにいつもより高い下駄を履いているんです。
ただでさえ二枚歯の下駄はバランスが取りにくいのに、江戸時代の人は雪の上で更に高い下駄を平気で履いていたなんて、超人としか思えません。

■家の庭で雪遊び

雪の日、お江戸の人はどうしてた?浮世絵で江戸時代にタイムトリップ:パート1


春信「風俗四季哥仙 庭の雪」国立国会図書館

今度は家の庭。

「母ちゃん見て見て!」「あら可愛い犬ね」「ほら、坊が目の玉を書き入れるのよ」女の子が弟を指差してくすくす笑っています。「まぁ、坊ったら、職人のお父っつぁんに似て凝り性だねえ」・・・。庭の雪で犬のかたちの雪像をこしらえて喜ぶ子供たちと母親の会話が聞こえてくるようです。

和歌は、「あとつけぬ 程をも見せん 庭の雪 人もとふまで 消ずもあらなん」。
鎌倉時代の新後撰和歌集からの出典です。

■チームプレーで大作の雪像に挑む

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三代豊国「源氏十二ヶ月之内 雪見月」

こちらはなんと、巨大ガマを作っています。ガマといえば「善知鳥安方忠義伝(うとうやすかたちゅうぎでん)」。大人気作家の山東京伝が読本を書き、歌川国芳などの人気絵師がそれを題材に多くの浮世絵を描きました。同作に妖術を使えるガマ仙人が出てきますが、果たしてこの雪だるまはそのガマ仙人なのでしょうか。少し絵心のあるお兄ちゃん、紅の絵の具まで持ち出して、平筆で絵付けするなんて本格的。


ちなみに右奥に見える石灯籠は「雪見灯籠」と言います。名前の由来は広げた傘に雪が積もった形に似ているからだとか、そうじゃないとか。由来はどうあれ、広い笠に真っ白な雪が積もって、風流なものです。

■大人は雪かきに精を出す

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渓斎英泉「江戸八景 忍岡の暮雪」国立国会図書館

不忍池の弁財天も真っ白です。子供は大喜びでも、大人には雪かきという大仕事が残っています。憂鬱になるのは今も昔も同じだったようです。
手前の方で文句も言わずせっせと門前の雪かきする男衆さんたち。腰を痛めないよう、足を開き腰をぐっと沈めて雪かきする姿は、とても頼もしく感じられます。

【画像出典】

  • 春信「風俗四季哥仙 庭の雪」国立国会図書館デジタルコレクション
  • 三代豊国「源氏十二ヶ月之内 雪見月」ボストン美術館
  • 渓斎英泉「江戸八景 忍岡の暮雪」国立国会図書館

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