したがって演出チームにも厳しい縛りをかけているという。「すべての商流は電通から」「他広告代理店系のスタッフはNG」というように。
社命を背負っている高田は、次第に、現場を管理・監督するようになり、MIKIKOを排除し、佐々木を全面に出していく。
昨年11月、彼女は辞表を提出することになるのだが、その前の10月16日に、自らに降りかかった出来事を克明に記したメールを電通幹部に送っていたそうだ。
そこには、「高田さんより、『今までの労いと共に、佐々木さん体制の報告を会長の口から受ける』と伺ってトリトンに出向く」とある。
そこで森会長はこう告げたという。「引き続き、オリ開会式はMIKIKOさんにお願いしたい」。佐々木体制への変更を覆すような発言をしたというのである。
同席していた高田は、訝る彼女を別室に連れて行って驚くべき発言をした。
「森会長はボケているから、今の話は事実と違うから」と、佐々木体制で行くと念押しされたそうだ。
電通幹部の説明だと、森会長はMIKIKOの能力そのものは買っていた。だが高田は、佐々木ならば意のままに動かせるし、電通の利益にも適うから、森発言をなかったことにする必要があったというのである。
今朝(3月25日)から聖火リレーが始まった。何としてでも東京五輪を開催したい菅首相と、五輪を食い物にして儲けようという電通の"利害"が一致した、汚れた祭典が走り出した。
だが、聖火ランナーが後ろを振り返っても、そこに国民や選手たちの姿はない。たとえ開催したとしても、後々まで、「コロナを克服できなかった五輪」として世界中に記憶されることになるはずだ。(文中敬称略)