辻仁成とひとり息子、3000日間の「家族」の記録。
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ぼくは父であり、母であった。
シングルファザーになったあの日から

 小説家・辻仁成さんのエッセイ集『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』(マガジンハウス)が、2022年6月30日に発売される。

 本書は辻さん主宰のWebサイトマガジン「Design Stories」のコラムを抜粋・再構成して一冊にしたもので、辻さんがシングルファザーになったとき10歳だった息子が、18歳になってフランスの大学に合格するまでが綴られている。反響が大きく予約が殺到し、発売前に重版が決定した。

辻仁成とひとり息子、3000日間の「家族」の記録。
イラストは、装画を含めて全て辻仁成さんが自ら手がけた

〈まえがきに代えて〉

1月某日、シングルファザーになった時の絶望感はいまだ忘れられない。あの日から息子は心を閉ざし、感情をあまり見せない子になった。なんとかしなきゃ、と必死になり、どうやったら昔みたいに笑顔に包まれた日々を戻すことができるだろうと考えた。
(中略)
料理好きの友人から、トマトの中には必要な栄養が詰まっているから、トマトが好きなら、とりあえず、トマトを食べさせてね、と言われた。藁にも縋る日々だったけれど、トマトに救われた。息子は、トマトとガーリックのパスタをよく食べるようになった。それで、そこにツナを入れたりいろいろと工夫を凝らすようになる。
「おいしい?」と訊いたら、小さく頷き、「うん、おいしい」と返ってきた。
なんでもないやりとりだったけれど、あれは家族再生の最初の一言だったと思う。

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