ドル円相場は、1ドル=107円台の円高水準に達している。米国の長期金利が2%割れをうかがう展開となり、日米金利差の縮小を受けたことが、その要因。

中東の地政学リスクの高まりもある。円高は日本の企業業績に直接的に影響してくるため、株式市場にネガティブ材料として効いてくる。前週は、株式市場に冷水を浴びせた格好だ。

27日は上場企業の株主総会の集中日。28日、29日には、注目のG20大阪サミットがある。

どうなる? 今週の株式・為替マーケット!

東京株式市場 緊張高まる「米国VSイラン」
日経平均株価予想レンジ:2万900万円~2万1600円

2019年6月21日(金)終値 2万1258円64銭

今週の日経平均株価は、強弱材料が対立する中で、底堅さを試す動きになると予想される。

前週の日経平均株価は、米国のニューヨーク株式市場の上昇を背景に上昇した。ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が金融緩和の可能性に言及し、欧州株式市場が上昇したことに加え、FOMC(米連邦公開市場委員会)で米国での利下げ期待が高まったことや、G20(主要20か国・地域)首脳会議で、米中首脳会談の開催が決まったことなどで、ニューヨーク株式市場が上昇。この流れを引き継ぎ、日経平均株価も上昇したが、米国の利下げ期待を要因に為替相場が急速に円高に振れたことや、週末にイランが米国の無人偵察機を撃墜したことで中東の地政学リスクが高まり、ニューヨーク株式市場が下落したことで、上値も重い展開となった。

今週の日経平均株価は、強弱材料が対立する中で、底堅さを試す動きになると思われる。米国の利下げ期待感が高まったことで、為替相場が1ドル=107円台の円高進行となっており、日経平均株価の上値を押さえそうだ。これ以上に円高が進行するようだと、日経平均株価が下値を試す動きになる可能性がある。

加えて、米国とイランの緊張が高まっていることも、日経平均株価の上値を押さえそうだ。

半面、米国の利下げ期待感の高まりでニューヨーク株式市場が上昇しており、日経平均株価の支援材料となっている。さらに、28日からのG20大阪サミットで米中首脳会談が開催され、米中の貿易課札が改善に向かう兆しが表れれば、日経平均株価の上げ材料となりそうだ。

東京外国為替市場 米国の1~3月期GDP発表に要注意!
ドル・円予想レンジ:1ドル=106円00銭~109円00銭

2019年6月21日(金)終値 1ドル=107円30銭

今週の外国為替市場でドル円相場は、ドルは不安定な動きとなりそうだ。

前週のドル円相場は、ドルが軟調な展開となった。米国の利下げ期待感の高まりで、日米金利差が意識されたうえ、イランが米国の無人偵察機を撃墜したことで中東の地政学リスクが高まり、リスク回避のドル売り・円買いが強まった。

今週のドル円相場は、不安定な動きになりそう。米国の利下げ期待を背景に、米長期金利が低下しており、低下傾向が続くようだとドルの下押し材料となりそうだ。加えて、中東の地政学リスクが一段と高まるようだと、リスク回避のドル売り・円買いが継続する可能性がある。

半面、28日からのG20大阪サミットにおける米中首脳会談で、貿易協議が進展すればドル買い要因となろう。27日に米国の1~3月期GDP(国内総生産)発表があるが、直近の米経済指標は市場予想を下回るものが多く、GDPの結果にも注意が必要だろう。

経済指標は、国内では25日に、4月24~25日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨、27日に5月の商業動態統計、28日に5月の失業率・有効求人倍率、5月の鉱工業生産、6月19~20日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、などが予定されている。

また、27日は株主総会の集中日となる。

米国では、25日に5月の新築住宅販売件数、26日に5月の耐久財受注、27日に1~3月期GDP確報値、28日に5月の個人所得・個人支出の発表が予定されている。

(鷲尾香一)