2020年度の小学校の不登校児童は前年度比18.7%の増加、中学校の3.8%増加した一方で、高等学校は14.1%の減少となった。前回に続き、今回は不登校問題を取り上げる。

文部科学省が10月13日に発表した「令和2(2020)年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、小・中学校における長期欠席者数は28万7747人と前年度比13.8%増加した。

2020年、不登校の児童・生徒は過去最多

長期欠席者数が増えた要因の一部には、2019年度調査までは年度間に30日以上欠席した児童生徒を対象としていたが、2020年度からは「欠席日数」および「出席停止・忌引き等の日数」の合計の日数により、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒に加え、「新型コロナウイルスの感染回避」を追加したこともある。

ちなみに、この新型コロナウイルスの感染回避による長期欠席者数は、小・中学校合計で2万905人だった。

それにしても、長期欠席者数は2013年度以降、増加の一途を辿っている。そして、長期欠席の理由の中で最も多いのが「不登校」の問題だ。

2020年度の不登校児童数は、小学校で前年度比18.7%増の6万3350人、中学校で同3.8%増の13万2777人となった。

中学校の増加率が小学校に比べて低いのは、分母となる前年度の不登校児童数が多いためであり、決して中学校の不登校児童数の増加に歯止めがかかっているわけではない=表1参照。

2012年度に一時的に減少に転じた不登校児童数は、小・中学校とも2013年度から増加を続け、2020年度まで8年連続で増加。小・中学校とも過去最多となった。特に小学校では増加ペースが高まっており、2018年度には前年同期比28.0%増、2019年度には同19.0%増と高い増加率を示している。

また、中学校でも増加率は低いものの、不登校の生徒数は2017年度10万8999人、2018年度11万9687人、2019年度12万7922人、2020年度13万2777人と毎年度1万人ずつ増加している。

児童1000人当たりの不登校児童数でも年々増加しており、小学校は2016年度の4.7人から17年度5.4人、18年度7.0人、19年度8.3人に増加。

20年度にはついに10.0人となった。

中学校の不登校生徒数には目を見張る。生徒1000人当たりの不登校生徒数は、2015年度28.3人、16年30.1人、17年32.5人、18年度36.5人、19年度39.4人と増加。20年度には40.9人となった。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、20年度は一斉休校や登校日を削減し、リモート授業を実施するなど、学校への登校日数は大幅に減少した。これが不登校児童の増加に結び付いた可能性がある。

高校の不登校生は近年減少している

一方、2020年度の高等学校における長期欠席者数は、前年度比4.8%増の8万527人だった。このうち不登校によるものは同14.1%減の4万3051人。コロナ禍の感染回避によるものは9382人となった。

高等学校での不登校生徒数は、近年減少を辿っている。19年度も前年度比5.0%の減少となっており、改善の兆しが見えている。生徒1000人当たりの不登校生徒数も、18年度16.3人から19年度15.8人、20年度は13.9人と減少した=表2参照。

ただ、高等学校は小・中学校と違って義務教育ではないため、不登校とともに中途退学者が発生する。2020年度の中途退学者数は前年度比18.5%減の3万4965人だった。中途退学も改善の兆しが見えており、中途退学者数は2019年度も前年度比11.8%減少している。

さて、小・中・高等学校の児童1000人当たりの不登校者数と、高等学校の中途退学率の都道府県別の上位5を見ると、ほとんど共通項が見つからない中で、比較的に地方県のほうが上位にランクする傾向が強い=表3参照。

前回と今回、2回にわたって「いじめ」と「不登校」の問題を取り上げた。この国の将来を担う子どもたちが、健やかに学校生活を送れることを願うばかりだ。

(鷲尾香一)