国内に1000以上、海外も含めると約1500の店舗をもつイタリア料理店チェーン「サイゼリヤ」。その第1号店は1967年に個人経営のレストランとして開業した。

現在は、「サイゼリヤ1号店教育記念館」として店舗だったころの姿のまま保存されている。

J-CASTトレンド記者は2019年5月26日、同館を取材した。

調理器具がそのまま残る厨房に入れる

「サイゼリヤ1号店教育記念館」は、JR本八幡駅(千葉県市川市)北口徒歩1分の商店街「八幡一番街商店会」にある。駅北口からすぐのショッピングモールに「サイゼリヤ」の緑色の看板が見えるが、これは記念館ではなく「現役」の店だ。もう少し進むと八幡一番街商店会で、入ってすぐに「イタリア料理 サイゼリヤ」と書かれた緑色の看板が目に入る。

2階建ての建物の2階部分が記念館になっている。

1階は青果店だ。取材に応じた「サイゼリヤ1号店教育記念館保存会」のメンバーである大山達雄さん(大山機械工業所代表取締役)によると、営業していたころは青果店の前に並んだ野菜を飛び越えて店に入っていたそうだ。

入り口につながる階段の壁には、創業当時からの写真がたくさん飾られていた。店舗だったころは入店待ちの人々が並んだという階段を上って館内に入ると、10卓程度のテーブル席が以前のまま配置されていた。厨房にも実際に使われていた調理器具が残ったままで、入って見られる。鉄製のフライパンからは、まだ油のにおいがしていた。

当時の雰囲気を味わえるだけでなく、さまざまな資料を自由に閲覧でき、サイゼリヤの歩みやこだわりを感じられる。特に、過去のメニューは創業当時のものから置かれており、その変遷を見られる。記者は「生ガキ」や「キャビア」がかつてメニューにあったと初めて知った。また、チェーン展開を始めたころは「ドリアはサイゼリヤの名物料理です」というフレーズとともに「ミラノ風ドリア」があり、当時から人気だったことがうかがえる。館内の映像資料によると、ミラノ風ドリアは1000回以上の改良を重ねているそうだ。

「『市川の宝』。
より多くの人に見てほしい」

大山さんによると、保存会は千葉県中小企業家同友会市川浦安支部の有志によって発足した、いわゆる「サイゼリヤファンクラブ」。サイゼリヤの創業者で現会長の正垣泰彦氏が開催していた勉強会で学んだ経営者たちが集まり、記念館を運営している。

1号店が店舗として運営されていたのは2000年2月まで。翌月からは記念館として勉強会や例会、サイゼリヤの社員研修などに使用されている。当初、一般開放は見学の申し込みがあったときだけだった。申し込みが多かったため、2年半ほど前からは土日の開放に努めているという。

ただメンバーが多忙なため、土日の常時開館は難しい。どうしても見学したい場合は、窓口となる同友会に連絡するとよい。

大山さんによると、多いときには1日40人ほどが訪れるそうだ。1時間弱の取材中にも4~5人がやって来た。その中には、店舗だったころに何度も通ったという人もおり、当時を懐かしんでいた。

ツイッターを見てみると、「行ってみたい」というものや「偶然見つけてびっくりした」など記念館について言及したツイートが複数見られる。

「保存されていることに感動した」という声もあった。大山さんは、「サイゼリヤは『市川の宝』。より多くの人に見てほしい」と話した。<J-CASTトレンド>