TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。
【今回の相談内容】
私の実家には70代の両親と40代後半になる独身の兄が住んでいます。
【回答】
まずは、すこし整理をしてみましょう。抱えていらっしゃるご心配の種は、(1)ご両親さまの今後の生活、(2)お兄さまのこれからの人生、(3)ご実家の存続、でしょうか。いろいろとご心労の多いことですね。お察しいたします。
このなかで、すぐに解決の糸口が見つかりそうなのは(1)でしょうか。今はまだ必要のないご様子ですが、今後、ご両親さまの日々の生活に手助けが必要となる場合に備えて、ご近所の地域包括センターや役所の介護相談窓口とあらかじめ繋がっておくという手があります。そうすれば、いざというときにすぐ動くことができますので安心ですよ。
(2)はいちばん難しいですね。お兄さまは今、鋭意婚活中でいらっしゃるというわけでもなさそうです。ご本人はあまり「結婚」ということにご興味がないのかもしれません。
(3)のご実家の存続については、場合によってはあなたさまがお継ぎになるということもありなのではないかしら。昔と違って兄弟が少ない現代ですから、長男が、次男がではなく、協力し合って子供たち全員で事に当たるというのが賢明なような気がします。
私たちは、「心配の種」は他人にあるような気がしていますが、その「心配の種」を育てているのは、往々にして「自分」です。じつは自分が勝手に「心配の種」をつくり出し、育ててしまっているのです。
【プロフィール】
玉置妙憂(たまおきみょうゆう)
看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』火曜のコメンテーターを務める。