薄桃色の翼を広げて、8羽のトキが悠然と青い空へ飛び立っていくと、集まった約700人から拍手と歓声が湧き起こった。5月31日、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県羽咋市で、国の特別天然記念物のトキが放鳥された。

集まった人々の多くは復興への希望を抱き、胸を熱くしていた様子だった。この日、秋篠宮さまは紀子さまと式典に臨まれ、

「本日、半世紀ぶりにトキがこの地に放たれることに深い感慨を覚えます」

と述べられていた。しかし、式典のほとんどの時間で、周囲の人々とは対照的に、秋篠宮さまは感情を表されることはなく……。このご様子に、取材した記者たちにはざわめきが広がっていたという。地元紙記者はこう振り返る。

「能登半島地震から2年半、そして奥能登豪雨で甚大な被害を受けたこともあり、石川県はトキの放鳥を復興のシンボルと位置づけてきました。放鳥式は晴れがましい式だったのですが、秋篠宮さまは記念式典などに臨まれていた時間のほとんどを、まるで能面のように無表情でいらしたのです。

秋篠宮さまは鳥類の研究者で、2008年にも新潟・佐渡島での放鳥式に紀子さまと臨まれていたこともあり、トキの生態や保護の状況には深く関心を寄せられてきたはずなのですが……」

皇嗣のご公務を通じて能登半島の復興を支援し、かつ鳥類学や鳥を専門に研究する山階鳥類研究所の総裁も務められてきた秋篠宮さま。ご表情のほかにも、異変が見られたという。

「地元の首長といった関係者らとのご挨拶やご懇談時に、妙に近すぎる場面があったり、秋篠宮さまの相手との距離感の取られ方に違和感を抱いた、と話す記者もいました。以前石川県を訪問された際には明るいご表情だったので、その差に驚く声も聞こえました。

また天皇皇后両陛下や上皇ご夫妻は、公の場でお互いをいたわられる場面をお見かけしますが、紀子さまが秋篠宮さまをフォローされることもなく……そんな異様なお姿に、報道陣も騒然としたのです」(前出・地元紙記者)

■体力的なご負担より忸怩たる思いが……

近ごろの秋篠宮さまの疲弊されたご様子が話題になっていたと、宮内庁関係者は明かす。

「公の場で、お元気がないと語る関係者が多くなっていて、ご体調を心配する向きは少なくありません。天皇陛下は日ごろからジョギングをされたり、体力維持には非常に気を配られているのですが、秋篠宮さまにはそうしたご習慣はないようです。

皇嗣というお立場から、非常に多忙なご日程で数多くの式典ご出席や国際親善のご活動、宮中祭祀というお務めに臨み、研究活動も続けられ、ご負担が増えている状況です。還暦を過ぎ、お疲れを周囲に訴えられることも多くなっていると伺っています」

一方永田町では、今国会中の皇室典範改正に向け、急ピッチで意見集約が進められている。6月8日、10日にも各党・会派による全体会議が開かれ、「立法府の総意」が取りまとめられる方向だ。この“総意”は高市早苗首相に伝達後、あらためて衆参両院に改正案が提出され、審議されることになる。

女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持すること、そして旧宮家出身の男系男子を養子縁組で皇族とすること……近現代の皇室にとって類例のない状況が到来しようとしているのだ。前出の宮内庁関係者はこう続ける。

「現行制度では、女性皇族の方々が結婚で皇籍を離れてしまうため、皆さまが“皇室に残れる”という選択肢が設けられることには、宮内庁内でも歓迎する向きが多いように感じています。

しかし養子縁組案については、『とんでもない』と話す幹部すらいます。明治時代から現代に至るまで養子が禁止されてきたのは、特定の勢力が意図をもってある人物を天皇とすることを避けるためでした。自民党や日本維新の会など、男系男子による皇統の堅持を掲げる保守派は、この養子縁組案を第一として、国会の議論に臨んできたという経緯があります。

秋篠宮さまもこうした事情はご存じでしょう。そして何よりも、養子縁組案に抵抗感を抱かれているはずです。悠仁さまという“将来の天皇”を擁する皇嗣家では皇統を維持できないと、ないがしろにされているようにも感じられているのではないでしょうか」

皇室に広がる不安をよそに進められている皇室典範改正。秋篠宮さまは2024年、59歳のお誕生日に際した記者会見で、こう述べられていた。

「皇族は生身の人間なわけで、その人たちがそれによってどういう状況になるのか、(中略)宮内庁の然るべき人たちは、その人たちがどういう考えを持っているかということを理解して、若しくは知っておく必要があるのではないかと思っております」

皇族も一人の人間……だがお気持ちは政治家に伝わったとは言えない状況であり、秋篠宮さまも忸怩たる思いを抱かれていたのか。皇室研究家で神道学者の高森明勅さんはこう語る。

「天皇や皇族は政治の決定に関与できないとはいえ、該当する方にとっては人生に関わることですから、当事者を顧慮しない理不尽な制度を強制するのではなく、配慮してほしいと、秋篠宮殿下はご発言にお気持ちを込められたのではないでしょうか。またお気持ちを、宮内庁をはじめ政府中枢にも理解してほしいというご意図もあったように思います」

トキの放鳥式で見せられた能面のようなご表情は、無力感からなのか、それともせめてもの抵抗なのか。秋篠宮さまの思いは届かないまま、皇室典範改正が行われようとしている。

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