「恨まない離婚」で勝つ!“バツ3”弁護士が追求する流儀の画像はこちら >>



「多くの方の離婚にまつわる悩みを聞いてきて気がついたのは、離婚をこじらせて泥沼化する人と、希望する条件で離婚にたどりつける人の差は“心の整理の仕方”だということです。こじらせない離婚に必要なのは、心の整理が9割、法律は1割です」



こう語るのは、弁護士の原口美緒さん(41)。

彼女は離婚案件を得意とする弁護士として、これまで400人以上の相談を受け、こじらせがちな離婚トラブルを、次々に解決してきた。一般的な弁護士は、依頼者を離婚させることを前提に、調停や裁判で有利になるよう相手の欠点だけを聞き出し、処理していくことが多いというが、原口さんのやり方は、「まず離婚ありき」ではない。



原口さんの離婚相談は、「私を苦しめたアイツをこらしめたい」「少しでも多くの慰謝料をとりたい」など、相手への恨みや憎しみでがんじがらめになった依頼者の心を解きほぐし、自身の結婚生活を整理させ、離婚後にどんな生活を送りたいかを考えさせることに主眼がおかれる。



「離婚を考えるのは、相手に傷つけられているときがほとんどです。相手を責めたい気持ちはよくわかります。でも憎しみに凝り固まったまま話を進めると、相手もかたくなになり、泥沼離婚へハマる傾向があるんです」



原口さんはまず、辛抱強く依頼者の話に耳を傾ける。

愚痴や夫に対する恨み言で、訴訟には役立ちそうにない話でも、親身になって受け止め、依頼者が落ち着いたところで、「“不満ぶちまけリスト”を作ってみませんか?」と提案する。夫に対する不満を書き出すことで、たまった怒りが収まり、これまでの結婚生活に対して客観的になれれば、心の整理は一気に進む。



この段階で、まだ相手を好きなことに気づいて、離婚を回避できる人も多いそうだ。それでも、やはり離婚するとなったら、離婚後の生活を具体的に思い描いてもらう。すると、優先すべきことがおのずと見えてくる。ここまできて初めて法律の出番。

経済的な保障なのか、離婚までのスピードなのか、優先順位が決まれば、法律的な対策が立てられる。



「たとえ裁判や調停になったとしても、依頼者がそれを乗り越えていけることが私の理想の着地点です。心の棚卸しがキチンとできて離婚された方は、過去をひきずらず、皆さん、晴れ晴れとした表情で、次の新しい人生に向かわれていますよ」



原口さんがカウンセリング重視のスタイルをとるようになった背景には、彼女自身の半生が大きく関わっている。



「両親は、記憶にある限りずっと不仲で、最終的に離婚もしています。そんな両親を見て、絶対に離婚しないと心に決めていたのに、私も3回の離婚を経験してしまいました。ふり返ってみれば、離婚は常に私の人生のテーマでした」



弁護士という職業柄、自分の弱点や過去は隠したいのではとも思うのだが、彼女はすべてを隠さず、正直に語り尽くそうとする。



「こんな弁護士らしくない私でいいのかな、と思うこともあります。でも、しくじっても、その経験を人に伝えて、糧にしてもらえるのならいいかなぁって。私のような弁護士は、世間一般の“弁護士はしっかりした人”という固定観念を崩すためには、よいモデルかもしれませんよね」