金銭面でも“準備”は進められていた。別の芸能関係者が語る。
「田村さんは20年近く前から個人事務所代表を和枝夫人(76)にし、ひとり娘(46)を役員とした財産管理会社を設立しました。娘さんは01年に結婚しましたが、その後も役員を務めています。また夫妻が住んでいる都内の豪邸は父の坂妻さんが遺してくれた土地に建てられています。1千平米以上で、価格は7億6千万円超とも。そのためこの土地の名義を、田村さんと和枝夫人、それに個人事務所と財産管理会社で分けているのです」
4月上旬、本誌は田村のもとへと向かった。颯爽と歩く姿はスターそのもの。だが、スポーツウェア越しでも分かるほどやせているようだ。記者は「これからもずっと俳優業を続けていきますか?」と聞いてみた。だが彼は、言葉少なにこう答える。
「いや、そんな気はありませんよ」
驚きを隠せない記者が「では、いつまで?」と返すと、苦笑しながら「そっちで決めてよ」と答える。「私は、ずっと見ていきたいです」と記者が話すと、彼は感慨深げに続けた。
「そう?でも、もう十分にやったよなぁ。いろいろやらせてもらったからね、十分。十分やってきたから……」
かみしめるように答える田村。その口調からは、引き際をすでに見定めていることがうかがえる。そして去り際に「じゃあ」と右手を上げながら帰るその背中からは、決して多くを語らない“男の美学”がにじみ出ていた――。