今回はそんな主婦の佐藤舞香さん(仮名・33歳)のエピソードをご紹介しましょう。
初めての接客業
舞香さんは娘の波留ちゃん(仮名・6歳)が小学校に入学したのを機にパートに出ることにしました。「自転車で10分位のところにあるファミレスで働くことにしたんです。
そして平日のランチタイムをメインにシフトを入れたそう。
「ですが初めての接客業にテンパってしまい、料理を運ぶ途中でひっくり返してしまったり、注文ミスをしてしまったりと失敗続きで、のっけから、かなりへこんでしまったんですよ」
優しい大学生の男の子に励まされ
するとよく一緒にシフトに入っている大学生の涼太くん(仮名・21歳)が励ましてくれました。「涼太くんは仕事ができて、私が失敗しても笑顔で優しく教えてくれるし、明るくて人懐っこい性格で常連のお客さんからもとても好かれているような子でした」
そんな涼太くんが「もし良かったら、僕がここに入った時に仕事を覚えるために作ったメモがあるので送りましょうか?」と言ってくれたので、ありがたくそうしてもらうことにしたそう。
「LINE交換をしてさっそく送ってもらったのですが、それがとても要点のまとまった分かりやすいメモで本当に助かったんですよね。おかげで“頑張って覚えるぞ!”と気合が入ったんです」
縮まる距離感、関係を持ってしまった
「その頃からだんだんと仕事以外のことでもメッセージを送り合うようになり、初めて2人きりで会いたいと言われた時はドキドキして…こんな感覚本当に久しぶりだなと思ってしまいました」
そのようにして涼太くんは舞香さんに積極的にアプローチしてくるようになり、ついその強引さにほだされて関係を持ってしまったそう。
「もちろんいけないことだと分かっているし、夫や子供に対しての罪悪感と、こんな若い子相手に何をやっているんだ私は、という気持ちが一緒くたに押し寄せてきましたが…」
同時に「どうせ涼太くんはまだ大学生だし、きっと好奇心だけで私みたいな主婦に言い寄ってきただけだから、すぐに同世代の好きな子ができて私なんかには飽きてすぐにいなくなるに違いない。だから極短期の後腐れのない浮気相手として最適なのかも」という考えもよぎりました。
「ですが久々のときめきが嬉しくて涼太くんとの関係を続けていたら、かなり面倒なことになってしまって…」
さて2人の間に何が起こったのでしょう?
匂わせ事件勃発
「私の誕生日にパートに行く前にこっそり密会していたら『これ誕プレ』と、涼太くんがアディダスのパーカーをくれたんですよ。私はあまりスポーティーな格好をしないのですが『よく似合うよ』と褒めてくれたので、その格好のまま上機嫌でパートに行ったんです」すると時間差でバイトにきた涼太くんが、なんとお揃いのパーカーを着て現れたんだそう。
「はぁ、どういうこと?と思いました。一緒にシフトに入っているバイトの子達に『匂わせですか?そういえば2人は仲良いですよね』と、からかわれて私はヒヤヒヤして生きた心地がしませんでした」
必死で舞香さんが「まぁアディダスなんてどこにでも売っているし、偶然かぶっちゃうこともありますよね」と言い訳をしているのにも関わらず涼太くんは終始ニヤニヤしていたそうで…。
「頭にきて、パートが終わったあとで『一体どういうことなの?私は既婚者だし絶対バレちゃいけないって分かっているよね?』と詰め寄ったのですが涼太くんは『でも本当はちょっと嬉しかったでしょ?』とすまし顔で、あ、これはもうダメだと思いました」
別れ話をしたものの…
「もうここが潮時だと思い、涼太くんに別れを告げたら情緒不安定みたいな感じになり激しく抵抗されて、なぜか無理矢理私のスマホを強奪して走り去って行ってしまったので焦りました。彼は歳下だけど私より力が強いのでどうしようもなかったんです」
そして涼太くんを探して走り回っていると、やっと公園のベンチでうなだれているのを発見したそう。
「涼太くんは呑気に『追いかけてきてくれて嬉しい!』と抱きついてきましたが、私は『スマホを返してよ。
不倫発覚、夫の反応は
とりあえず涼太くんをなだめて帰し、LINEをブロックすると舞香さんは重い足取りで帰宅しました。「帰宅した夫に『あの男は誰?後で話そう』とニラまれて、娘が寝た後ですごい剣幕(けんまく)で怒られました。もう仕方がないので不倫の事実を認めて、謝り倒すことしかできませんでした」
そして舞香さんが「ずっとセックスレスで寂しかったから」と泣くと、自分にも非があると思ったのか「今回だけだよ、次またしたら離婚だからね」となんとか許してくれたそう。
「自分が悪いのですが本当に酷い目に遭ってしまいました。不倫なんてするもんじゃないなと心の底から反省しましたし、パートも辞めて今は大人しく過ごしています」と苦笑いをする舞香さんなのでした。
<文/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop