歌手の中島美嘉さん(41歳)が、大ヒット公開中の映画『怪盗グルーのミニオン超変身』で声優を務めました。
主人公グルーの妻ルーシー役は、7年ぶり3度目。
もともと声の仕事には興味があったという中島さん。インタビュー前半では今回の映画や声優のこと、後半では40代に入り変化した考え方など、さまざまなテーマで話を聞きました。
――怪盗グルーの妻ルーシー役は今回で3度目ですが、収録はいかがでしたか?
中島:映画の中のキャラクターは歳を取らないこともあるので、いつまでこの声が出せるかなって最初の頃に言っていたんです。明るい感じで始めてしまったのでちょっと声が高く、だから今回「もうちょっと元気にいきましょう!」と言われて、「いや元気なんです!」と(笑)。やっぱり声って変わってくるんです。でも、あの当時の自分に戻れた気がしたので、そういう楽しみもあるなと思いました。
――彼女は妻としてだけでなく、母として戦う場面も今回ありました。
中島:そうですね。今回のルーシーは戦うシーンもあったので、そのときに出す声が大変でした。逃げるだけでなく逃げながら何かを言うので、「今のおかしくなかったですか!?」と、それはもう何回もやらせていただきました(苦笑)。自分も体を動かしたりして声を出していたのですが、「マイクから離れないでください」と言われてしまいまして、そういうことに慣れていなかったので、たぶん手などが動いてしまったのかなと。
――改めて声優の仕事の面白さについては、どう受け止めていますか?
中島:とても難しいお仕事だと思っているのですが、声優さんとして見ていただけるとしたら、自分の声でキャラクター性を決められることです。
最初はシリーズ化を知らずにルーシー役に挑戦したので、さっきも言ったように「同じ声が出るかな」という怖さもありました。
――歌も声で表現するものなので、その意味では延長線上にある仕事と言えそうです。
中島:わたしは声だけでお仕事ができることがとてもうれしいんです。歌もそうなのですが、自分が前に出てというよりは、声だけで完結することは贅沢で、自分にとってはいいなと思う部分があります。好きなんです。
吹き替えはいろいろな改善点がまだあり、もっとこうしたらというポイントはルーシーでもたくさんあるのですが、自分の声でいろいろなことをやってみたいというのは、実はずっと言っていることでもあったんです。
――それはどういう理由からなのでしょうか?
中島:とにかくあがり症なので(苦笑)。自分の目の前にいろいろな人やモノが見えていると、とにかくあがってしまいます。何を言っていいか分からなくなる。いろいろなところに気を遣うところを、声だけに集中できることがいいなと。なので本当はもっと遠慮せずに、いろいろと思っていることが言えるようにもなれたらいいなと思います。
――日々仕事をしている上で大切にしているモットーはありますか?
中島:モットーというか、あがり症のせいなのか仕事が終わってから反省点を探す癖があるのですが、仕事をしている最中から本当は心底楽しみたいんですよね。「楽しかったー!」、パンッ!と一日が終われたらいいのですが、「もっとこうしたらよかった……」みたいに反省してしまうことが性格としてあるので、そうじゃなく仕事をしてみたいです。
――そこを直したいわけですね。
中島:そうですね。要は、心底仕事を楽しめればいいなと。以前に比べれば、少しずつマシにはなっていると思うのですが。
――日々のルーティンはありますか?
中島:わたしの癖で、何も言われないと全部後回しにするというものがあり、やらなきゃいけないことは今すぐやるということを心がけています。お仕事の確認にしても、誰かから何か連絡が来ていたりしても、後に回しておくと忘れてしまうんです。夜にやろうと思うと確認が遅れたりするので、やらなくちゃいけないことは先に終わらせて、それからゆっくりします。
――運動や美容、食事などの健康面で気をつけていることは?
中島:昔はジムにずっと通っていましたが、最近は自宅で夜に簡単にできるような、腹筋やヨガなどを15分くらいやったりしますね。前は昼にジムに通っていたのですが、人によって一番よいリズムがあると思うようになり、わたしの場合は運動は夜だと気付きました。寝る前に自宅でやったほうがいいらしいということが分かり、夜やるようになりました。そのとき気になる部分を鍛えています。
――自分に合ったやり方なんですね。基本的なことですが、見つけられている人は少なそうな気もしますね。
中島:そうなんですよね。わたしもまだ探している最中ではあるのですが、わたしの場合は夜に体を動かしたほうが眠れるんです。人によっては高ぶって寝られない人もいると思うのですが、わたしは起きてすぐ運動すると疲れてすぐ眠くなってしまうので、みんなこんなにすごいことをしているんだなぁと(笑)。
――8月8日に新曲「UNFAIR」リリースを控えるなど、仕事も順調かと思いますが、40代、どのように過ごしたいでしょうか?
中島:仕事もプライベートも、何事も楽しみたいです。「あー、楽しかった!」と言って寝られる性格になりたいので、そのことを心がけています。反省点を探し始めるとダメダメとなって、楽しかったところや一生懸命頑張っていたところを置いて考えてしまうので、わざと自分をほめるようにしています(笑)。これだけのことができたからいいじゃないって、日々言えるようになりたいですね。
40代になって特にそう思うようになったかな。この年代って、どっちつかずのようなところがあると思うんです。全部を楽しみたいけれど、まだやらなければいけないことがある……って迷っている年代だと思う。体も変わってきているので、以前と同じようにはいかないですよね。
――先ほどの運動もそうですが、自分らしさを見つけることが大事になりそうですね。
中島:そうですね。自分で何でもやってみて、みんなと同じではないことに気付いたほうがいいなと思います。みんなと同じだと思っていたからできないことがあると反省するしかないとうか。今はいろいろなものが見えちゃうから「みんなこんなことをしてるのか!」と、すぐ影響されちゃうじゃないですか。「みんな朝にこんなことをやっているんだ!」って(笑)。
でもわたしは朝が弱いし、というか午前中が弱いので、それならお昼以降、人より倍動けるときに自分のペースでやればいいかなと。そういうようなことを、40代に入ってやっと思えるようになったんです。
――流されないように自分らしさを見つけたほうがいいということですね。今日はありがとうございました。
<取材・文・撮影/トキタタカシ>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。
主人公グルーの妻ルーシー役は、7年ぶり3度目。
グルー役の笑福亭鶴瓶さんとも息ピッタリです。
もともと声の仕事には興味があったという中島さん。インタビュー前半では今回の映画や声優のこと、後半では40代に入り変化した考え方など、さまざまなテーマで話を聞きました。
「もうちょっと元気にいきましょう!」と言われることも
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中島:映画の中のキャラクターは歳を取らないこともあるので、いつまでこの声が出せるかなって最初の頃に言っていたんです。明るい感じで始めてしまったのでちょっと声が高く、だから今回「もうちょっと元気にいきましょう!」と言われて、「いや元気なんです!」と(笑)。やっぱり声って変わってくるんです。でも、あの当時の自分に戻れた気がしたので、そういう楽しみもあるなと思いました。
――彼女は妻としてだけでなく、母として戦う場面も今回ありました。
中島:そうですね。今回のルーシーは戦うシーンもあったので、そのときに出す声が大変でした。逃げるだけでなく逃げながら何かを言うので、「今のおかしくなかったですか!?」と、それはもう何回もやらせていただきました(苦笑)。自分も体を動かしたりして声を出していたのですが、「マイクから離れないでください」と言われてしまいまして、そういうことに慣れていなかったので、たぶん手などが動いてしまったのかなと。
――改めて声優の仕事の面白さについては、どう受け止めていますか?
中島:とても難しいお仕事だと思っているのですが、声優さんとして見ていただけるとしたら、自分の声でキャラクター性を決められることです。
クールなものをかわいく表現出来たり、歳も上げ下げできたり、キャラクターの年齢が変わらないことがアニメの良さだったりもするのですが、それが意外と自由にできたりすることも、すごく重大なことですよね。
最初はシリーズ化を知らずにルーシー役に挑戦したので、さっきも言ったように「同じ声が出るかな」という怖さもありました。
「とにかくあがり症なので……」
『怪盗グルーのミニオン超変身』
中島:わたしは声だけでお仕事ができることがとてもうれしいんです。歌もそうなのですが、自分が前に出てというよりは、声だけで完結することは贅沢で、自分にとってはいいなと思う部分があります。好きなんです。
吹き替えはいろいろな改善点がまだあり、もっとこうしたらというポイントはルーシーでもたくさんあるのですが、自分の声でいろいろなことをやってみたいというのは、実はずっと言っていることでもあったんです。
――それはどういう理由からなのでしょうか?
中島:とにかくあがり症なので(苦笑)。自分の目の前にいろいろな人やモノが見えていると、とにかくあがってしまいます。何を言っていいか分からなくなる。いろいろなところに気を遣うところを、声だけに集中できることがいいなと。なので本当はもっと遠慮せずに、いろいろと思っていることが言えるようにもなれたらいいなと思います。
「楽しかったー!」パンッ!と一日が終われたら
中島美嘉
中島:モットーというか、あがり症のせいなのか仕事が終わってから反省点を探す癖があるのですが、仕事をしている最中から本当は心底楽しみたいんですよね。「楽しかったー!」、パンッ!と一日が終われたらいいのですが、「もっとこうしたらよかった……」みたいに反省してしまうことが性格としてあるので、そうじゃなく仕事をしてみたいです。
――そこを直したいわけですね。
中島:そうですね。要は、心底仕事を楽しめればいいなと。以前に比べれば、少しずつマシにはなっていると思うのですが。
――日々のルーティンはありますか?
中島:わたしの癖で、何も言われないと全部後回しにするというものがあり、やらなきゃいけないことは今すぐやるということを心がけています。お仕事の確認にしても、誰かから何か連絡が来ていたりしても、後に回しておくと忘れてしまうんです。夜にやろうと思うと確認が遅れたりするので、やらなくちゃいけないことは先に終わらせて、それからゆっくりします。
健康のためのルーティンは?
『怪盗グルーのミニオン超変身』
中島:昔はジムにずっと通っていましたが、最近は自宅で夜に簡単にできるような、腹筋やヨガなどを15分くらいやったりしますね。前は昼にジムに通っていたのですが、人によって一番よいリズムがあると思うようになり、わたしの場合は運動は夜だと気付きました。寝る前に自宅でやったほうがいいらしいということが分かり、夜やるようになりました。そのとき気になる部分を鍛えています。
――自分に合ったやり方なんですね。基本的なことですが、見つけられている人は少なそうな気もしますね。
中島:そうなんですよね。わたしもまだ探している最中ではあるのですが、わたしの場合は夜に体を動かしたほうが眠れるんです。人によっては高ぶって寝られない人もいると思うのですが、わたしは起きてすぐ運動すると疲れてすぐ眠くなってしまうので、みんなこんなにすごいことをしているんだなぁと(笑)。
40代になってやっと思えるようになったこと
中島美嘉
中島:仕事もプライベートも、何事も楽しみたいです。「あー、楽しかった!」と言って寝られる性格になりたいので、そのことを心がけています。反省点を探し始めるとダメダメとなって、楽しかったところや一生懸命頑張っていたところを置いて考えてしまうので、わざと自分をほめるようにしています(笑)。これだけのことができたからいいじゃないって、日々言えるようになりたいですね。
40代になって特にそう思うようになったかな。この年代って、どっちつかずのようなところがあると思うんです。全部を楽しみたいけれど、まだやらなければいけないことがある……って迷っている年代だと思う。体も変わってきているので、以前と同じようにはいかないですよね。
――先ほどの運動もそうですが、自分らしさを見つけることが大事になりそうですね。
中島:そうですね。自分で何でもやってみて、みんなと同じではないことに気付いたほうがいいなと思います。みんなと同じだと思っていたからできないことがあると反省するしかないとうか。今はいろいろなものが見えちゃうから「みんなこんなことをしてるのか!」と、すぐ影響されちゃうじゃないですか。「みんな朝にこんなことをやっているんだ!」って(笑)。
でもわたしは朝が弱いし、というか午前中が弱いので、それならお昼以降、人より倍動けるときに自分のペースでやればいいかなと。そういうようなことを、40代に入ってやっと思えるようになったんです。
――流されないように自分らしさを見つけたほうがいいということですね。今日はありがとうございました。
<取材・文・撮影/トキタタカシ>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。
主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
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