雛形さんは1992年のデビュー後、ドラマ・映画・舞台など幅広く活躍中。昨年の独立後、夫の天野浩成さん(47歳)とともに二人三脚で仕事も人生も過ごすにあたり、ライフスタイルの工夫をしたことでプラスの影響が出たと言います。舞台のことや人生のこと、お話をうかがいました。
葛飾北斎という人のエネルギー
――葛飾北斎の娘・お栄は以前も演じられていましたが、まず台本を受け取った時、どのような感想を抱かれましたか?雛形あきこ(以下、雛形):一昨年に「画狂人北斎」を演っているのですが、そこから今回「新」ということで「新」が付いているだけかと思ったら、ほぼすべてが変わっていまして(笑)。なのでリセットみたいな感じなのですが、そこからも日々まだ変わっていくだろうという。「大丈夫かな?」と不安もありつつ進化をし続けているなという印象です。
――北斎とお栄は、絵を描くことだけに生涯を捧げるエネルギッシュな父娘ですが、作品世界の魅力についてはいかがでしょうか?
雛形:好きなことだけをして生きることがこんなに大変なのかということと、それだけで生きられた葛飾北斎という人のエネルギーがすごくて素敵だと思いました。そうなれたらいいなというあこがれもあります。その北斎について生きていたお栄という人もすごく素敵な人なんです。
――今年は長澤まさみさん主演で映画にもなっていて、お栄にちょうど注目が集まっていますよね。
雛形:ただ、女絵師としては生きて行けない時代なんですよね。自分も絵師になりたかった人が、時代が認めてくれないという葛藤を持ちながら、父の北斎を支えて生きていたお栄もまた強い人だったんだろうなと思うんです。みんなそれぞれに強い信念を持って生きていた人たちのエネルギーというのが、すごく素敵だなと思いながら日々やっています。
どの時代にもある「好きなことをする難しさ」
――今回の舞台のお栄は前回の舞台と比べ、人物像に変化はありますか?雛形:もちろん北斎を支えてはいますが、前回よりも女絵師としての葛藤もちゃんと描かれるようになりました。だから、ただただ支える強い女性ということだけでなく、自分の中で持っているものも見え隠れするという。そこで有名になれるわけじゃないということも、ちゃんと自分でわかっている。この国じゃ無理だということもわかっているけれど、描き続けるみたいな姿が描かれていきます。
――なるほど。現代に通じるようなアレンジみたいなこともされているのでしょうか。
雛形:好きなことをすることがとても難しい、認められないことの難しさは、女性だからとか関係なく、どの時代でもあると思うんです。でも、その中で自分が頑張れるエネルギーのようなものを強く持てた女性ではあると思うので、そういうことに負けない姿は素敵だなと思いつつ、なかなかそういうふうになれないものだとも思うので、そうなれたらいいなと。北斎にしてもお栄にしても、あこがれを感じながらやっています。
「反省はしても、後悔はしないように」
雛形:好きなことはもちろんやれていると思うし、好きなことでお仕事ができているという認識は確かにあります。北斎を見ていると、好きなことをやるにはエネルギーがいることだし、それだけ信念を持つことも大事なことだと思うのですが、好きなことをやるということはまわりに迷惑をかけることもあると思うので、支えてもらってできていることを忘れちゃいけないなとも思いました。
――信念という意味では、芸能生活はどのようなスタンスで続けて来られたのでしょうか?
雛形:どんなことでも反省はしても後悔はしないようにしています。今回もお栄を演じるにあたり全力で挑みますが、どんな評価を得たとしても反省はするけれども後悔はしない。わたしは120パーセントでやったと自信を持って言えるようにしたいですよね。
子どもが独り立ちし、夫婦で考えたこと
――また、美容についてニュースになるなど注目を集めることもあるかと思いますが、どのようなことに日々気をつけているのでしょうか?雛形:子どもが25歳になり独立して家を出たので、時間ができたこともあると思います。夫婦だけの時間になり、わたしたちも独立して自分たちで会社を始めたので、自分たちに投資をするようになりました。自分たちの時間を大切にするということですね。食べるものはもちろん、パーソナルジム、見聞きしたいものを、自分たちを成長させる時間を密に作ったほうがいいよねと、この歳になってふたりで考えるようになったんです。
――なるほど、美に特化して何かをするのではなく、生活そのものを活性化させるような工夫をされているということですね。
雛形:そうですね。この一年で暮らしやすいように、リビング・ダイニングも全部模様替えしました。娘がいた頃は全体でおうちという感じでしたが、衣装部屋など空間を全部分けて、自宅全体の模様替えをしました。過ごしやすく、リセットしやすい空間にしました。たとえば台本にしっかり向き合える場所など、自分たちが有意義に過ごせる空間に変えました。
――この一年で具体的な効果はありましたか?
雛形:ありました。全然違います。
お互いに“なりたいビジョン”がよく見えるように
雛形:そうですね。特にわたしの場合は仕事をしている時間が人生の中においてとても長いほうだと思うので、パートナーであることがとても大事になってくるんだろうなと思っています。
――生活の仕方を変えたことで、将来設計などに変化は出たりしましたか?
雛形:ふたりだけの生活だから、生活も会社もお互いを見ることがとても多くなりました。なので、お互いになりたいビジョンがよく見えてくるようになったと思うんです。そこに行けるように、ふたりで頑張っている感じではあります。
今まではこの仕事が長く続けていければいいなという漠然と大きな夢があったけれども、もう少し狭めて……と言うとおかしいけれど……、より明確に道が定まったような感覚ではあります。
<取材・文/トキタタカシ>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
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