見上愛と上坂樹里W主演の連続テレビ小説『風、薫る』(NHK)に、筒井道隆が医大院長役で出演した。『私の青空』(2000年)以来26年ぶりの連続テレビ小説出演作だ。


 菅田将暉主演ドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系、2022年)は、『君といた夏』(フジテレビ系、1994年)以来、なんと27年ぶりの月9出演作だった。

 今、かつてのアイドル的トレンディドラマ俳優がいい味を出している。“イケメン研究家”加賀谷健が解説する。

筒井道隆はなぜ懐かしい俳優なのか?

「出続けているのになぜか懐かしい」55歳の実力派俳優、26年...の画像はこちら >>
 いわゆる、トレンディドラマ俳優というのは、すぐさま懐かしさと結びつく。

 放送当時に流行したドラマ作品の、トレンディな出演俳優だったからだが、その中でも特に筒井道隆はなぜか懐かしい俳優だなと思ってしまう。現在でも出演作を重ねているというのに、これは不思議だ。

 トレンディドラマ俳優としての筒井道隆が、それだけ圧倒的な存在感だったからだろう。

 1993年、最高視聴率30%以上を誇る名作ドラマ『あすなろ白書』(フジテレビ系)では、石田ひかり演じる主人公・園田なるみが静かな恋心を寄せる、大学の同級生・掛居保を演じた。

 やさしげでやわらかな雰囲気は、妙に包容力があって、視聴者をとろかすアイドル的魅力があった。

 キュートな表情と声色、長身のバランスも武器に、三谷幸喜脚本ドラマ『王様のレストラン』(フジテレビ系、1995年)と『総理と呼ばないで』(フジテレビ系、1997年)では一見、頼りないかのようで正義感にあふれる役柄を得意とした。

近年のターニングポイント的作品だったラブコメ映画

 俳優デビュー作は1990年公開の主演映画『バタアシ金魚』だった。高校の水泳部を舞台に青春の一コマが描かれる同作ワンショット目、筒井演じる主人公カオルが教室の窓から長い腕を突き出して居眠りする、ぼへっとした顔を捉えた。

 さらに後続場面では屋上に寝そべり、これまた長い左脚を下に向けて(ほとんど直角に)だらり。

 何とも脱力したスタイルだが、それがその後のトレンディドラマでの、あのゆるい雰囲気につながっている。
ちょうど25年後の公開作『深夜食堂』(2015年)は、『バタアシ金魚』と同じ松岡錠司監督作品で、時を経て熟成された味わいを醸した。

 では、近年の出演作からターニングポイント的作品を一つ挙げるとするなら、吉沢亮主演のラブコメ映画『ママレード・ボーイ』(2018年)になるだろうか?

 少女漫画を原作とする、いわゆる“きらきら映画”だが、物語に保護者が直接介入しない(ことが多い)このジャンルで、珍しくかなり介入してくる保護者役の一人を筒井が演じたことが興味深い。

連続テレビ小説出演は26年ぶり

 結果的に同作以降、筒井はトレンディドラマ俳優時代のイメージとは全然違う役柄を演じることになる。池井戸潤原作、堺雅人主演で国民的大ヒットシリーズになった『半沢直樹』(TBS系、2020年)では、江口のりこ演じる国土交通大臣直属チームのリーダー・乃原正太を演じた。

 この乃原役は第5話で初登場する。メガネをかけ眉間に皺を寄せる険しい表情。2020年代の筒井道隆は1990年代の彼とは明らかに印象が違う。孤軍奮闘する熱血銀行員の主人公・半沢直樹(堺雅人)に立ちふさがる、悪役的雰囲気もさわやかなアイドル的イメージとは程遠い。でもこれがなかなかハマり役だった。

 さらに2022年には、菅田将暉主演ドラマ『ミステリと言う勿れ』で、やはり眉間に皺を寄せる刑事役で出演。第1話冒頭の初登場場面から眉間の皺を際立たせ、主演ドラマ『君といた夏』以来27年ぶりの月9出演にしては激渋だった。

 2026年前期の連続テレビ小説『風、薫る』(NHK)に出演している。
こちらも『私の青空』以来26年ぶりの連続テレビ小説出演だが、かつてのトレンディドラマ俳優が時代を超えて本当にいい味を出している。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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