「『資格がないからダメ』と落とされたので、その資格を取得してまた面接を受けました。でも、やっぱり何かと理由をつけられて落とされたんです。そんなことが何社も続くうちに働く意欲を失い、ひきこもりのようになってしまうケースが最近目立ちますね」
また現在、普通に働いている人たちも他人事ではない。
「想定外のリストラや両親の介護問題がきっかけで、仕事がなくなるだけではなく、あっという間に社会から孤立してしまうことも珍しくはありません。特に真面目な人ほどなりやすいと思います」
ひきこもりやニートの社会復帰を支援する認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏も同意する。
「『失業者』とは仕事を探している人のことですが、失業期間が長期化すると、就労先が見つからないという絶望から、働く意欲まで失ってしまいます。そういう人は『無業者』と呼ばれており、支援する制度がほとんどありません。無業者の数は増え続けているという実感があります。若者支援を掲げている僕らのところにも中年の相談者が来るくらいですから」
中年が無業者になった場合、サポートしてくれる公的支援はほとんどない。そのために社会復帰が難しく、必然的に失業期間が長期化してしまうのだ。
※1 SNEP=Solitary Non-Employed Persons=孤立無業者とは、20歳以上59歳以下の未婚の無業者のうち、ふだんずっと一人か一緒にいる人が家族以外いない人々。