
亀梨和也さん主演映画『事故物件 恐い間取り』を観てきました。
平日の夕方の回に入りましたが、“おひとりさま”は意外と少なく、男子高校生のグループや、カップル客が目立ちました。やはり皆、ひとりで“事故物件”を内見するのは恐かったのかもしれません。
さて、本作は“事故物件住みます芸人”の松原タニシさんの著書を原作としており、亀梨さんはタニシさんを投影した売れない芸人・山野ヤマメ役を演じています。
◆事故物件にハマっていく姿も恐い
最初こそ、おずおずと事故物件に越していたヤマメですが、しだいに“事故物件慣れ”してきて、新作のスイーツでも選ぶように次なる物件、しかもなるべくヤバそうな部屋を借りるようになる変化が、まず恐い!
売れない、注目されないことの恐ろしさが怪奇現象の怖さを凌駕し、恐い目に遭うほど仕事も入る――芸人としての余裕も出てエスカレートしていくさまが、悪霊(?)の思わくに乗せられているようで、また恐い!
自分を思ってくれる人の愛情や友情を無碍(むげ)にしていると自覚しながらも、抜けられぬ葛藤の苦しみを、亀梨さんが曇り、揺れるまなざしの演技で見事に見せています。
◆芸人の服もキュートに着こなす亀梨和也
本作の監督・中田秀夫さんはホラー映画の傑作「リング」も手がけていて、同作では“呪いのビデオテープ”が恐怖のゲートとなりました。
今、ビデオテープを手にする機会はだいぶ少なくなりましたが、部屋、間取りというのは人が暮らしていく上で必ず関わるもの。“そこに住む人を媒介に恐怖が引き継がれていく”という概念は、逃げ場のない恐ろしさを喚起します。