
それ以外にも、家の盆栽の梅の木に花が咲いたことや、外出して洗濯物を濡らさずに取り込めたこと、近所の人気のケーキ屋でお目当てのお菓子をラスト1個で買えたこと、家の窓から寸分の曇りなく富士山が見えたこと……数えたらキリがないほど、毎日小さな幸せをかみしめていました。今考えれば、小さなことでも一つ一つ「幸せ」と感じられたのは、病気のおかげとも言えるのかもしれません。私たちは病気をきっかけに、たくさんの幸せも手に入れることができたのです。
しかし、そんな生活を2年半続けたところで治療が頭打ちに遭い、ついに闘病の終わりを意識する時期が訪れます……。
次回は、夫の死を意識したときの心境と自身の行動についてお伝えしたいと思います。
―シリーズ「私と夫の1063日」―
【監修・明星智洋】
江戸川病院腫瘍血液内科部長/がん免疫治療センター長/プレシジョンメディスンセンター長
2001年熊本大学医学部卒業後、呉共済病院、虎の門病院勤務を経て、癌研有明病院にて血液悪性腫瘍およびがんの化学療法全般について学ぶ。その後2009年より江戸川病院にて勤務。
<文/関由佳>
【関由佳】
筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。
芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。
夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。