
4者4様のキャラクターが描かれながら、その“静”と“動”のコントラストに何度もハッとさせられる火曜ドラマ『この恋あたためますか』(TBS系列/毎週火曜10時~)。
第4話までを終えて、それぞれの登場人物たちの過去の関係性や現職に至るまでの経緯、からみ合う恋心などが徐々に明らかになってきた。ハマり役しかいない役者陣の好演や、「選ばれなかった人たちの物語」というここまでの主題に焦点をあてながらお話を振り返っていきます。
◆替えが可能な“選ばれなかった人たち”の物語
「手前だけどんどん売れ残っていって、最後には期限が切れて捨てられる。後ろには新しいのが控えてて、代わりなんていくらでもある」
第1話で森七菜演じる井上樹木はそう悲観して言葉を発する。コンビニの商品は古いものを前に置くけれど、そのことを客は知っているから後ろばかり取られていってしまう。結果的に古いものはどんどん売れ残っていき、最終的には捨てられる……。
それは初回放送の冒頭で樹木による長い独白が伝えるように、樹木の人生そのものだった。地下アイドルをやっていたが自分だけ人気が出ず、21歳になった樹木の前にフレッシュな新メンバーが現れ、瞬く間にセンターをかっさらっていった。半ばクビのような形で樹木が卒業すると、グループはアリーナ公演をするようなトップアイドルへと成長していく。