(台北 30日 中央社)旧暦8月15日に当たるきょう30日は、一家団らんで中秋の名月を楽しむ「中秋節」。中華圏では、月に見立てた菓子「月餅」を贈り合い、家族で月を愛でながら食べるのが慣わしだが、台湾ではそれに加え、今が旬の文旦や「焼肉」が中秋節の定番となっている。


今年の中秋節は週末に重なったため、台湾各地では金曜夜から帰省ラッシュが始まり、土曜のうちから公園や路上で焼肉を楽しむ人々の姿が見られた。「お月見と焼肉」の不思議な関係には諸説あるが、焼肉のたれメーカーが“一家団らんの中秋節には焼肉を”との広告を展開したのが始まりという説が有力だ。

今では地方自治体が公園などを焼肉用に開放するほか、マンションの屋上や商店街のアーケード、自宅前の路上などにバーベキューコンロを広げる光景はすっかりこの時期の風物詩。近ごろは環境問題や一酸化炭素中毒を懸念し、屋外での焼肉を控えるよう勧める向きもあるが、多くの人が「焼肉なしでは中秋節気分も半減」と考えているようだ。

接近していた台風17号も去り、本番のきょうは台湾各地で中秋の名月が望める見通し。焼肉も今夜がピークだが、昨夜には新北市で中秋節焼肉が原因の火事も発生しており、自治体などは火の元の始末に注意するよう呼びかけている。