(沖縄 24日 中央社)沖縄県を訪問中の李登輝元総統は24日、糸満市の平和祈念公園内に建立された「台湾出身戦没者慰霊碑」の除幕式に出席した。慰霊碑には李氏が揮毫(きごう)した「為國作見證」(国のために証人となる)の文字が刻まれている。
李氏はあいさつで、平和や自由、民主主義のみが人類を永遠に偉大にできると述べ、人々が生命の尊さのために証人になり、平和や自由、民主主義を後世に伝えていけることを願った。

1945年の沖縄戦で台湾から参加した20万人のうち3万人が戦死し、1万5000人が行方不明になったとされる。だが、沖縄戦終結50周年に当たる1995年に同公園内に建設された沖縄全戦没者を弔う「平和の礎」には台湾人の名前は34人しか刻まれていない。日台親善団体、日本台湾平和基金会の働きかけにより2016年に台湾出身戦没者をまつる「台湾之塔」が設置された。

李氏は「台湾人としての私はわが国を強く愛しており、生涯学んできたことでわが愛する台湾の土地に貢献してきました」と台湾への愛を示した上で、「人生において戦争によって非常に多くの苦難を目の当たりにし、いかにして積極的に命と向き合うべきかを戦争によって目にしてきました」と語り、歴史から得た教訓を生かし人類の文明を引き続き偉大にしていくことの重要性を訴えた。

李登輝基金会の王燕軍秘書長は、李氏の訪日実現は容易ではなかったと明かす。
2週間前に2度にわたって病院にかかっており、体調は万全ではなかったものの、李氏は慰霊碑の揮毫や除幕式の意義は大きいと考え、家族の反対を押し切って式典への参加を決めたという。

(楊明珠/編集:名切千絵)