(南投 28日 中央社)ウィーン世界平和合唱祭(25~28日)に参加するためオーストリアを訪れている中部・南投県民和中学の「濁岸合唱団」が、中国の圧力によって、27日に予定されていた、ウィーン国際センターでのコンサート出演を取り消されてしまった。台湾原住民(先住民)で構成される38人のメンバーは、この状況に屈することなく、持ち前の美声で台湾のソフトパワーを世界に発信している。


同合唱団は結成約10年。これまでに数々の国内コンクールで好成績を残し、民間の慈善団体の推薦を受けて同合唱祭に参加するチャンスをつかんだ。団員は旅費を作るため、各種イベントや会社の忘年会などに出演したり、CDを製作・販売するなどして頑張り、9カ月で約400万台湾元(約1450万円)を集めたという。

一行は24日に台湾を出発。ウィーンに到着後は市内各地で、予告なくパフォーマンスをする“フラッシュモブ”を行って先住民文化をアピール。予定が空いた27日には市内の高齢者施設を訪問し、美しい歌声を披露したところ、感動して涙を流すお年寄りの姿もあったという。
合唱団は28日まで合唱祭関連のイベントに参加し、30日に台湾に戻る予定。

外交部(外務省)は28日、しかるべき支援を行うとした上で、中国のいじめを受けても「台湾は決して逃げないし、いじけない」と強調。ソフトパワーで国際社会への参加を目指す姿勢を示した。

(蕭博陽/編集:塚越西穂)