(高雄 9日 中央社)国産潜水艦の建造を担う専用工場の起工式が9日、南部・高雄市内で行われた。出席した蔡英文総統は、台湾にとって潜水艦の国産は「唯一の道」だと述べ、自身が掲げる自主国防への決意を示した。
工場は来年完成予定。試作艦は2025年にも完成する見通し。この日、X型の舵(かじ)を採用した試作艦の模型が初公開された。

台湾が保有する現役潜水艦は4隻。うち2隻は1970年代前半に米国から引き渡されたもので、建造から70年を超える。オランダから購入した残る2隻も30年余りにわたり使用されており、老朽化している。
背景には、中国の圧力によって諸外国が台湾への潜水艦売却を尻込みしている現状がある。

蔡総統は就任以来、国防産業を重点産業に位置づけ、防衛予算を開発や製造に投じるほか、関連産業の発展を推し進め、人材育成も促進してきた。潜水艦国産計画は2017年に国防部(国防省)が台湾国際造船(台船)や国家中山科学研究院(中科院)と協力覚書に調印したのを機に本格始動。昨年4月には、米政府が台湾の潜水艦建造への米企業の参加を認めたことで、必要な技術や部品の支援などに関して米企業との商談が可能となった。

建造を手掛ける台船によれば、試作艦は60カ月後の進水、78カ月後の引き渡しを予定しているという。

(王承中/編集:名切千絵)