(台北 10日 中央社)蔡英文総統は10日、米国による中国製品への制裁関税引き上げ発動について、現時点では台湾の主力輸出品にまで及んでおらず、台湾への影響には限りがあると報告した。今後については、米国の動向を注視し、必要に応じて対応策を取るとした。


トランプ米政権は米東部時間10日午前0時1分(台湾時間10日午後0時1分)に中国から輸入する年間2000億ドル(約22兆円)相当の製品に課す追加関税率を10%から25%に引き上げた。蔡総統は同日朝に国家安全に関わる省庁のトップらを集めた会議を主宰し、会議終了後に記者会見に臨んだ。

蔡総統は、米中貿易摩擦は長期的な問題で、台湾で受注して中国で製造、その後に米国に輸出する貿易モデルは今後変わっていくと指摘。このような中での政府の目標として、中国に進出した台湾企業のUターン促進や米国との自由貿易協定(FTA)締結などを掲げ、「メイドイン中国」製品に取って代わり、良質な「メイドイン台湾」製品を米国向け輸出の主力にしたいと意欲を示した。

蔡総統はまた、一部の政党関係者や地方自治体の首長がこのほど「自由経済モデル区」の設置を主張し、台湾を中国製品の加工、輸出ができる特区にしようとしていると言及。これは形を変えたメイドイン中国に他ならず、台湾を数十年前に後戻りさせるものだと批判し、台湾経済の成長モデル転換の最大の障害になると語気を強めた。


(温貴香、侯姿瑩/編集:塚越西穂)