台湾伝統人形劇の巨匠描く記録映画 月末に日本公開 監督インタビュー

台湾伝統人形劇の巨匠描く記録映画  月末に日本公開  監督インタビュー
ヤン・リージョウ監督
(東京中央社)伝統人形劇ポテヒ(布袋戯)の人形遣い、陳錫煌さんに10年間密着したドキュメンタリー映画「台湾、街かどの人形劇」(中国語原題:紅盒子)が今月末、日本で公開される。同作を手掛けたヤン・リージョウ(楊力州)監督が8日、中央社の取材に応じた。

日本統治時代の1931(昭和6)年、ポテヒの巨匠、李天禄さんの長男として生まれた陳さん。人形や道具の制作にもたけ、伝統芸能と伝統工芸の両分野で人間国宝の称号を得ている。同作では、伝統芸能の伝承者となる運命を持ち、師でもある父親との葛藤の中で生きてきた陳さんの姿が描かれている。

「親子関係が同作の魂」と話すヤン監督。陳さんの時代によく見られた父子関係を物語るエピソードを披露した。陳さんに、すでに他界していた「父親に言いたいこと」を尋ねた時、陳さんはカメラに向かって「お父さん、ありがとう」と一言。30秒の沈黙の後、ヤン監督が「息子さんに言いたいこと」を聞くと、何もないという答えが返ってきたという。

陳さんの職人芸のほかに日本の映画配給会社が着目したのも、作品で描かれる父子関係だった。同作を芸術映画と捉えているヤン監督は、日本で上映しても観客を動員できないのではと考えていたという。だが、日本の中高年層にも同じような考え方や悩みがあるという先方の言葉に説得された。

同作のエグゼクティブプロデューサーは、李天禄さんの半生を描いた映画「戯夢人生」(1993年)を手掛けたホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督。ヤン監督は、ポテヒに人生を捧げた一家の前半を描いた「戯夢~」に対し、自作でその後半となる部分を撮れてうれしいと話す。昨年台湾で上映された後、国際的な映画イベントに参加する機会も増えた。海外の人にポテヒを見てもらいたいという陳さんの使命感をひしひしと感じながら、ヤン監督は、ポテヒはもっと世界に知られるべきだとの思いを強くしている。

東京都内では同日、試写会が催され、陳さんの鮮やかな人形さばきが日本の観客を魅了した。30日から、東京を皮切りに全国で順次公開される。

(楊明珠/編集:塚越西穂)

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