(台北中央社)台湾の複数の民間団体が19日、台北市内の外交部(外務省)庁舎前に集まって記者会見を開き、日本で検討されている、東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出への反対を訴えた。陳情を受けた同部は、日本政府はまだ最終的な決定を下していないと説明した上で、台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)を通じて意見を伝達し、慎重な対応と国際社会への説明を求めると約束した。


環境保護団体や脱原発団体、人権団体などがつくるプラットフォーム「全国廃核行動平台」によれば、台湾の民間団体は今年5月、処理水の海洋放出に反対する意見書を日本の経済産業省に送付するとともに、日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会台北事務所にも日本語に翻訳したものを提出していた。この日再度記者会見をしたのは、日本政府が10月下旬、海洋放出の決定を先送りしたのを受け、改めて反対の立場を示すとともに、コスト面を考慮して安易な判断をしないよう日本政府に呼び掛ける狙いがあったという。

それぞれの参加団体は、黒潮に乗って台湾近海に回遊してくる魚の移動ルートと海に放出される処理水の拡散経路が重なっていることや、海水汚染の問題が今後30~40年間続く可能性などへの懸念を訴えた。

(張雄風/編集:塚越西穂)