(台南、彰化中央社)新型コロナウイルスの影響で、旧正月(春節)前後に予定されていた大型イベントが中止や延期となる中、南部・台南市や中部・彰化県では、旧正月を締めくくる「元宵節」(今年は26日)に合わせた伝統行事が、それぞれの工夫の下で滞りなく執り行われた。

▽関係者だけで開催 台南市の「塩水ロケット花火祭り」(塩水蜂炮)

町の隅々を巡るみこしに向かって地元住民らが爆竹や花火を乱射し、無病息災を祈る台南市塩水地区の奇祭。
今年は感染防止対策のため一般開放はされず、ロケット花火をくくりつけた発射台「炮城」約100基が1カ所に集められ、順番に発射された。例年のにぎわいはなかったものの、光や音に引き付けられた観光客らが立ち入り禁止区域の外に詰め掛け、元宵節ならではの雰囲気を楽しんだ。

▽約200年来中断なし 彰化県の「灯排巡行」は感染対策を徹底

土地の守護神を祭る中部・彰化県花壇の文徳宮は18世紀の清朝時代に建立された道教寺院。竿に多数のちょうちんを吊り下げた「灯排」を抱えた信者の隊列が地元を練り歩き、沿道の住民がお線香を上げて平安を祈願する元宵節の恒例行事が、県の無形文化財に登録されている。文化部(文化省)によれば、起源は1828年にまでさかのぼることができるという。

祭りは第2次世界大戦中でも途絶えたことがなく、今年も24日から3日間開催された。
事前には社会的距離の確保やマスク着用の徹底が呼び掛けられ、クライマックスとなる最終日まで大勢の信者でにぎわった。

(楊思瑞、呉哲/編集:塚越西穂)