(台北中央社)台北市立動物園で飼育されていた世界最高齢のミミセンザンコウ「穿胖」が8日午前、死んだことが分かった。健康状態の悪化が進み、飼育員らが見守る中、安楽死の措置を受けた。
23歳9カ月だった。

同園によると、穿胖は1997年に同園初のミミセンザンコウの赤ちゃんとして誕生。台湾におけるミミセンザンコウ保全の始まりと進展を見届け、飼育の技術向上と保全意識の浸透に大きく貢献したとしている。

穿胖は2018年の健康診断で腎臓機能の低下が見られたため、飼育員や獣医師が追跡調査や飲食の調整などを実施。その後状態は安定したが、先月中旬から食事の摂取が不安定になるなどの末期症状が出たほか、今月初めには運動量が極端に減り、食欲もなくなったという。

同園によれば、かつてはミミセンザンコウに対する医療や飼育の知見が世界的に限られ、特殊な食習慣と緊張しやすい性格も相まって、胃潰瘍により出血死する個体が多かったとされる。


飼育チームは人工飼料の開発のために各国の研究資料を集めたり、ふんや消化状況を分析して、野外で摂取する栄養成分を明らかにすることに成功。穿胖は同園で開発された全ての人工飼料を食べたという。

同園は、ミミセンザンコウが何代にもわたって繁殖している世界で唯一の動物園と説明。繁殖の成果は台湾の誇りだと胸を張っている。

(陳怡璇/編集:齊藤啓介)