当時28歳だった台湾人留学生の曽以琳さんは2020年11月、ソウル市内で横断歩道を横断中、酒を飲んだ男が運転する車にはねられて死亡した。一審では求刑の懲役6年より重い懲役8年の判決が言い渡され、二審もこれを支持したものの、憲法裁判所が過去の検挙を理由に加重処罰することを違憲だと判断。最高裁は昨年12月、二審判決を破棄し、審理をソウル中央地裁に差し戻していた。
地裁は、飲酒運転について、運転手本人だけでなく、他人の生命や財産を侵害する可能性が非常に高い犯罪だと指摘。このような行為に厳罰を求める社会的感情があることを優先的に考慮した上で、被告が酒に酔った状態で赤信号を無視して加速し、曽さんを死亡させたことの責任は重いと強調した。
また曽さんは青信号で道を渡っており、責任は全くないとする一方、被告は酒によって判断力が低下した状態で運転したという点で注意義務の違反程度が著しく重いと結論付けた。
曽さんの父親の曽慶暉さんは、判決内容について、満足はしていないが、韓国の飲酒運転による死亡事故の当事者としては最長の懲役年数だと一定の理解を示した。台湾人に対しても飲酒運転をせず、自分を大切にし、他人を守るよう呼び掛けた。
(廖禹楊、黄国芳/編集:齊藤啓介)