(台北中央社)最大野党・国民党所属の立法委員(国会議員)24人に対するリコール(解職請求)の賛否を問う住民投票の投開票が26日に迫った。リコールを支持する市民団体と矢面に立つ国民党は19日、それぞれ集会を開くなどして有権者に対して投票を呼びかけた。


▽リコール支持の市民団体「国民党に台湾を征服させない」

一連のリコール運動は、一部の国民党立法委員が親中的だとして、複数の市民団体により展開されている。今月4日には東部・花蓮から時計回りに台湾本島を巡りながら支持を呼びかけるキャンペーンが行われ、19日午前から午後にかけては、のぼりを掲げたオートバイが台北市内を走行した。

夜に台北市の立法院(国会)前で行われた集会には、雨の中、主催者発表で5万人の支持者が集まった。キャンペーンの発起人である曹興誠氏はリコール運動の理由について、国民党所属の立法委員が中国訪問後に取り組んだ法律の制定や改正で、正しい手順を踏まず、協議もしなかったからだと説明。人々の力を合わせ、国民党や中国共産党に台湾を征服させないようにしようと訴えた。

与党・民進党立法院党団(議員団)の呉思瑤幹事長は、運動は民進党の議席数を増やすことなどが目的ではないと強調。国民党や第2野党の民衆党の立法委員らは毎日憲法や台湾を傷つけ、人々を裏切っているから、市民は中国共産党の代理人に成り下がっている彼らの解職を求めているのだと語気を強めた。

▽国民党・馬元総統、投票通じた頼総統への不信表明呼びかけ

一方、国民党は北部・新北市と中部・台中市で相次いで集会を開催。新北市の会場には馬英九(ばえいきゅう)元総統が姿を見せ、今回のリコール運動は政治闘争による悪質なものだと不快感を示し、投票を通じて頼清徳(らいせいとく)総統への不信を表明しようと呼びかけた。

韓国瑜(かんこくゆ)立法院長(国会議長)は、リコールに反対して台湾の民主主義を救い、民進党に対して独裁体制を敷くことはできないことを訴えようと語った。

主催者発表で約3万人が集まった台中市の会場では蒋万安(しょうばんあん)台北市長が、民進党は異なる意見を受け入れないと批判。投票で社会を安定させ、国家を正常な状態に戻そうと呼びかけた。


台湾では8月23日にも国民党所属立法委員7人に対するリコールの賛否を問う住民投票の実施が決まっている。

(劉建邦、王承中/編集:齊藤啓介)
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